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時計修理専門店 オロロジャイオ 石田です。(時計修理オロロジャイオについて)
本日は機械式時計の精度について少しお話いたします。
INDEX 目次
- しってますか?機械式時計の誤差
- 機械式の精度を比較すると
- 一般的なクオーツと機械式
- 精度の高い機械式~クロノメーター規格~
- オロロジャイオのメンテナンス
- ライフスタイル、時計のあつかい方で精度はさらに下がる?
- 精度の誤差をひろげる要因
- 機械式時計との付き合い方
しってますか?機械式時計の誤差
先日、機械式時計のオーバーホールをさせていただいたお客様より、「修理後1カ月で2~3分進むのでオーバーホールした意味が全くない」とご連絡をいただきました。
オメガの時計だったのですが、30日で3分とすると1日で+6秒進みの誤差ということになります。
機械式時計としては想定内の誤差ですので、お客様には「非常にいい状態かと思います」と精度に関する説明をし、ご納得いただきました。
このようなケースでお客様の話を伺っていると「高い時計ほど精度もいい」とお考えになっている場合がよくあります。しかし、多くの機械式時計は30万円でも、300万円でも精度は大きく変わりません。
機械式の精度を比較すると
【一般的なクオーツと機械式】
では一般的な機械式時計の精度はどれほどなのでしょうか?クオーツ時計と比べてみましょう。
例えをあげると、一般的な3針タイプのクオーツ時計では、月差±15秒以内といったものがほとんどであるのに対して、てごろな価格で出回っている国産の機械式時計では、日差-15秒~+25秒以内というのが多く見られます。
精度の差が大きいため、先のようにクオーツ時計が月差○秒と表すのに対して(いいものは年差で表すものもあります。)機械式時計は日差○秒で表します。 一般的に機械式時計の方が、クオーツ時計に比べて販売価格は高いのですが、精度はクオーツ時計が圧倒的に上です。
【精度の高い機械式~クロノメーター規格~】
では、精度の高い機械式ではどうでしょうか? 高精度なムーブメントを認定する規格として、スイスクロノメーター検定協会が定めるクロノメーター規格というものがあります。
厳正な検定で、さまざまな姿勢や気温の中で15日間にわたる検査を行います。その認定基準値は、日差-4秒~+6秒以内。 スイスで製造される時計のうち、このクロノメーター認定を受けたムーブメントは全体の3%程度と言われています。
前述の「進み+6秒」が、良好な状態であることがご理解いたけるかとおもいます。
一般的な機械式時計ならメンテナンス後、遅れであればクロノメーター規格を1秒超える、日差-5秒。進みであれば新品の機械式にもみられる+20秒程度。このような誤差の範囲ならば問題ないと思っていただければと思います。
またクロノメーター規格を超える独自規格で検査を行っているメーカーもあり、ロレックスの「高精度クロノメーター」、グランドセイコーの「GS規格」などがあげられます。昨今、時計業界で品質の向上を重視する傾向が高まっています。
オロロジャイオのメンテナンス
とは言ってもせっかくオーバーホールしたのだから精度のよい状態で帰ってきてもらいたいというお客様の気持ちもお察しいたします。
時計の精度は1秒単位ではなかなか調整できませんが、弊社では遅れることのないよう1日+5秒前後を理想と考え精度調整を丁寧に行い、お客様にお返しいたしております。
使用年数などによってコンディションも様々ですので、仕上がりの精度に若干のばらつきがでる点についてはご容赦いただければと思います。
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ライフスタイル、時計のあつかい方で精度はさらに下がる?
以下のような場合でも精度に影響を及ぼす場合があります。
【精度の誤差をひろげる要因】
- 時計の姿勢(向き)や、部品どうしの摩擦などが発生した場合。 時計の扱い方によって誤差が発生することがあり、使用年数が長いほどその影響は大きく現れます。
- 温度変化が生じた場合。 時計の部品は金属ですので若干ですが気温の変化に影響を受けます。例えば夏と冬では精度に数秒の違いが生まれます。
- ゼンマイが十分巻きあげられていない場合。 ゼンマイは、ほどけるにつれてトルクが弱まり精度も落ちていきます。
- 自動巻時計において、ローターによる巻き上げが正常に行われていない場合。 自動巻きの時計は運動量が少いなどの要因でゼンマイがほどけてきてトルクが弱まり精度が落ちていきます。
以上が主な精度の誤差を広げる要因です。対策としては、手巻きの場合は毎日決まった時間に巻いてあげる、自動巻きの場合は1日10時間以上使用する などしてあげると精度は安定します。
機械式時計との付き合い方
このように機械式時計はとにかく1日何秒かずれます。時間調整が必要であることや、ライフスタイルで精度が変わるということも面白みととらえましょう。大切に使用し、定期的なメンテンスをすれば長く愛用できるものですので、仲良く時計ライフを楽しんでいただければと思います。
【時計修理専門店オロロジャイオ】
お問合せ:03-3383-0833 / 時計修理サービスのご案内
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時計修理専門店オロロジャイオの腕時計修理技師。
アンティークウォッチから高級ブランド時計まで、腕時計の修理に関する情報をおとどけいたします。
趣味:息子と遊ぶ、サッカー/愛用時計:ロレックス エクスプローラー
石田
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