カルティエの修理

いつもご利用ありがとうございます。
時計修理専門店 オロロジャイオ 石田です。

今回は、カルティエについて、どういった修理・メンテナンスのご依頼が多いのか、そして私どもがどのような修理対応を行っているのかをご紹介したいと思います。

カルティエは、元々ジュエリーメーカーですが、腕時計をいち早くファッションの一部に取り入れたメーカーのひとつでもあります。そのため、女性はもちろん、男性の腕時計愛好家からも一目置かれています。

カルティエ(Cartier)
カルティエ 1847年フランス・パリでの創業以来、王族御用達として名を馳せてきたカルティエ。ジュエリー、時計、レザーグッズなど数々のクリエイションを世に送り出し、今もなお世界中の人々を魅了し続けています。
引用:カルティエ Cartier公式サイト

当店でも、タンクやパシャなど様々なシリーズ、そういった現行品からアンティークまでと、幅広いモデルのメンテナンス・修理のご依頼を頂いております。

以下より、カルティエに多い不具合や修理についてご紹介していきます。

目次 index

カルティエの人気モデルと、修理の印象

まずは、カルティエの人気シリーズをご紹介いたします。

サントス

1911年発表。(ルイ・カルティエの友人で)飛行家のサントスデュモンの要望がきっかけで生まれた腕時計です。20世紀初頭は、懐中時計から腕時計への移行期。懐中時計にラグを付けたり、ラウンドケースの腕時計が多かった中で、“腕時計”として、一からデザインされており、
際立った存在だったのではないでしょうか。“腕時計デザインにおける始祖のひとつ”と呼べるシリーズです。機械・クオーツ、現行・アンティークと幅広くご依頼いただいています。

タンク

1919年に発表。ファンションの一部として腕時計が普及する過程で、功績を遺したシリーズの一つ。多くの偉人にも愛され“タンキスト”という言葉も生まれたほど。カルティエで最も認知度の高いシリーズではないでしょうか。その人気や普遍的なデザインからから、現在まで様々なモデルが派生しています。
機械・クオーツ、現行・アンティークと幅広くご依頼いただいています。カルティエでは、最もご依頼が多く、主なモデルは、アンティークのマスト、タンクフランセーズなど。

パシャ

1985年発表。モロッコの太守エル・ジャヴィ公の要望で製作した腕時計をルーツにし、後に開発された腕時計。防水を目的とし、ケースと鎖でつながれたリューズガードが特徴的なシリーズです。機械・クオーツと幅広くご依頼いただいています。外装の修理依頼も多く、特徴的なリューズガードの破損や、スタッズ型のラグネジ欠損などのご相談が多い印象です。

パンテール

1983年発表。サントスから派生したレディースの腕時計。ブレスのコマが小さく、腕に吸い付くような着用感や、腕にきれいになじむシルエットが特徴です。高い人気にも関わらず一度生産終了となるも、近年新たなモデルで復活を果たしました。クオーツのご依頼がメインです。コマが細かいことから、ブレス破損のお問合せもいただいております。

バロンブルー

2007年発表。青い風船を意味し、円や球体がモチーフとなっています。発表からわずかな期間で、男女ともに高い人気を集め、定番となったシリーズ。比較的新しい時計ですが、所有されている方が多いのか、多くメンテナンスの依頼をいただいています。

カリブル

2010年発表。メンズだけが展開されているシリーズ。カリブル(=キャリバー)の名の通り、初の自社製造ムーブメントを搭載した記念すべきシリーズ。人気シリーズとして定着してきている印象があります。新しいシリーズで、依頼全般で機械のコンディションは良い印象です。

ロードスター

2002年発表。その名のとおり、車をモチーフにデザインされた腕時計です。現在は生産終了となっています。
クロノグラフから3針まで、多くご依頼いただいています。ケースが鏡面(ポリッシュ)のため、磨き(研磨)のご依頼も多くいただいております。

ベニュワール

1958年発表。ルイ・カルティエが、ロシアのマリアパヴロヴナ公爵夫人に贈った時計をルーツにもつ腕時計。夫人から「バスタブのような時計」と感想をもたれた事からベニュワール(=バスタブ)という名がつけられました。当店でのご依頼の数は多くない印象です。金無垢が多いので、大切に保存している方が多いということでしょうか。使用せずとも油の変質は進みますので、定期的なメンテナンスが大切です。

ラドーニャ

2006年発表。1950年代、カルティエはマリア・フェリックス(当時の歌手で有名女優)の要望で、ペットのワニをモチーフにしたアクセサリーを製作しました。このアクセサリーに着想を得て誕生したシリーズがラドーニャです。シリーズ名は、彼女の愛称からつけられています。 製造期間が短いシリーズです。ご依頼の数も多くあません。

カルティエ 機械式や、自動巻きに多い修理

カルティエの機械式時計は、主に(オメガなどを扱う)スウォッチグループの機械を使用しています。
一部のモデルでは、ジラールペルゴ製の機械をベースにしたものや、最近ではカルティエ独自の新型ムーブメントも見られます。
構造は特別なものではなければ技術的にオーバーホール可能です。しかし、部品の交換(特に自動巻き上げ機構)が必要な場合は、流通が無いため、対応できない場合がございます。

針がすぐに止まる。自動巻が機能していない気がする。

自動巻のカルティエ
定期的なオーバーホールを行わないと、こういった症状がでてきます。写真はジラールペルゴ製のムーブメント。
[スウォッチグループ製ムーブメント]
スウォッチグループ製の自動巻きムーブメントは、片側巻き上げが中心です。こうした機械は、油切れが始まると自動巻上機構の動きが悪くなりやすいという特徴があります。特に小型・薄型のモデルでは顕著です。ローターの動きが悪くなると、巻上げ効率も下がり、精度不良や持続時間が短い等の影響が出はじめます。

[ジラールペルゴやカルティエ独自ムーブメント]
ジラールペルゴやカルティエの独自ムーブメントは、比較的薄型である事が特徴です。その為、自動巻き上げ機構の軸周辺部品(べアリングなど)の摩耗が進むと、振り子の役割をしているローターがかたつき、周囲に接触するようになります。ローターはその状態で回転をしますので、ケースの内側や、ムーブメント本体までも傷をつけることになります。

これらは、定期的なオーバーホールで、分解掃除・油の差し替えをしてあげることで、防ぐことができます。部品交換が必要な場合、前者のスウォッチグループ製ムーブメントは流通があり、基本的には交換が可能です。後者の、ジラールペルゴやカルティエ独自ムーブメントの場合は、部品の流通が無く、メーカーでないと交換ができません。
いずれの場合にも、短めのスパンでオーバーホールする事が、部品の寿命を延ばすことにつながります。

オロロジャイオでの修理料金、対応

オーバーホール:¥24,000~

状態に応じて部品交換。

入手ができない場合は、メーカー修理をご案内。

カルティエ クオーツ(電池式)に多い修理

カルティエのクオーツ(電池式)時計は、カルティエ独自のムーブメントが使用されており、部品の入手が困難です。高額であったり、入荷に時間がかかる場合がございます。カルティエのクオーツ時計は、部品交換のコストが高額です。
部品交換をへらすため、他のブランドと比べても、特に定期的なメンテンスが大切なブランドです。

クオーツ時計の電池交換をしたい。

クオーツのカルティエ
通常の電池交換のご依頼です。長くメンテナンスされていない個体ですと、回路不良や液漏れなどによって、修理が必要な場合もあります。

こちらの記事もご覧ください:電池液漏れの対策について

クオーツ時計は、メンテナンスの必要性を軽視されてしまう傾向があり、長期間ノーメンテナンスで使用されている方が多くいらっしゃいます。そのため、ご依頼いただいた時点では、油切れ、湿気混入、汚れが要因で、動作不良になってしまっている場合が多くです。

電池切れの場合ですと、正常に動いている時計は電池交換のみの対応となります。一方で、長期間ノーメンテンスで測定値が許容範囲を超える値がでた場合は、オーバーホールをご案内いたします。

オーバーホールでは、部品不良(主に電子回路不良)の場合は部品交換が必要となります。機械が旧型ですと、ベース機械一式交換が必要となる場合もございます。

部品入手は時間がかかり、価格が高額になる場合や、入手ができない場合があります。金額や修理期間の面で判断をし、メーカーでコンプリートサービス、(メーカーでのオーバーホールだが実際は機械交換での対応)をお勧めする場合もあります。
オロロジャイオでは、メーカーのように、電子回路点検を含む電池交換、お手入れセットをご提供しております。ぜひご利用ください。

オロロジャイオでの修理料金、対応

電池交換セット:¥6,000~

オーバーホール:¥17,000~

状態に応じて部品交換。

入手ができない場合は、メーカー修理をご案内。

カルティエ アンティーク (手巻き)に多い修理

修理をご依頼いただくアンティークのカルティエは、ご親族から譲り受けたというものが多い印象です。メンテナンスの必要性が伝わっていないなどして、長い間ノーメンテナンスの時計が見られます。

古いカルティエの腕時計が止まってしまったのですが、修理できますか?

アンティークのカルティエ
数十年経っているモデルですと古い故に、修理自体が可能なのか、気にされる方が多くいらっしゃいます。
動作不良の原因は、油切れや、ゼンマイ切れ、非防水のため湿気混入などがあげられます。
大半は、マストタンクなど小型のムーブメントを搭載したレディース時計です。こうした小型の時計は、精度が不安定になりがちですが、構造のシンプルな手巻きが多く修理をいたしております。 ゼンマイなど、部品の入手も可能です。

オロロジャイオでの修理料金、対応

オーバーホール:¥30,000~

状態に応じて部品交換。

カルティエ シリーズ別:パシャに多い修理

男女ともに長年人気のパシャシリーズ。独特なリューズガードが大きな特徴です。

針が変色してしまったのですが、修理できますか?

パシャ クロノ
様々なシリーズで使用されているブルースチール針ですが、変色は写真のような針を持つパシャに多く見られます。
パシャに多く見られる、夜光の乗ったブルースチール針に見られる事象です。
まず、湿気混入などで、夜光が水分を含み変色します。これを放っておくと、そのベースとなる針も錆びてしまい、こちらも変色します。

夜光塗料の変色は塗り直しで対応可能です。 しかし、針自体の変色はメーカーにて針交換が必要となります。
メーカーでは、基本的に針交換のみの対応は対応していません。オーバーホール含む形で、依頼が必要となります。

オロロジャイオでの修理料金、対応

針の夜光塗料の修復:¥10,000~

針交換は、メーカー修理をご案内

リューズガードの留め具(鎖)が取れてしまったのですが、直せますか?

パシャのリューズガード
パシャ特有の修理依頼に、リューズガードが本体からとれてしまったという相談があります。
パシャの特徴である、リューズガード。ケースとこのリューズガードは鎖のようなパーツでつながれていますが、ここが取れてしまうことがあります。 溶接によって付け直す事が可能ですが、溶接痕(変色や表面の変化)が少し残ってしまいます。

オロロジャイオでの修理料金、対応

リューズガード溶接:¥10,000~

カルティエ シリーズ別:タンクに多い修理

1世紀近くにわたって展開を続けるタンクシリーズ。様々な派生シリーズがあり、また男女ともに根強い人気があります。現行品はもちろん、アンティークでも多くの修理依頼を頂いております。

文字盤のヒビを修理できますか?

タンクの文字盤
アンティークで流通の多いマストタンクは、文字盤の劣化が多く見られます。ここでは、近年のモデルの文字盤劣化の事例もあわせて解説いたします。
アンティークのモデルの場合、肉眼ではわかりにくいのですが、文字盤塗料が劣化し、ひび割れのような亀裂が入る場合があります。

他方、近年のモデルでは、ケースに湿気が混入すると、文字盤のインデックス部分が水分を含みます。この場合、インデックスの塗料が滲んでしまうことがあります。オーバーホールでは針を外す必要がありますが、文字盤に保護シートが乗せられないため、対応ができないケースがあります。

文字盤の取寄せはできませんので、こういった場合はメーカー修理をお勧めしております。

オロロジャイオでの修理料金、対応

近年のモデルの文字盤交換は、メーカー修理をご案内いたします。

カルティエ 外装(ケース、リューズ、ブレスなど)に多い修理

元々ジュエリーメーカーのため外装のデザインもこだわりを
感じますが、ゆえに繊細な作りの為破損につながる場合もございます。

また、カルティエのクオーツ時計は、ドレスウォッチをはじめとする3気圧程度の非防水時計が主です。
多くのモデルが、裏蓋をネジで固定する仕様で、このネジ周りから水分が混入しているケースが多く見られます。
弊社オロロジャイオ公式サイトの時計磨きの例もご覧ください。

湿気がはいってしまったので修理して頂きたいです。

湿気の混入
防水性能の低いドレスウォッチに多いご依頼です。なるべく早めの対応が必要です。
カルティエの腕時計は、多くがドレスウォッチで、防水性は3気圧程度です。さらに、裏蓋はネジ式のものがほとんどで湿気、水滴、水流に弱い構造となっています。

ネジ穴から湿気が混入したり、ネジ穴周辺が錆びるなどして、湿気が混入する場合があります。

ネジ穴から水が浸入し、本体ケースと裏蓋の接地面が錆びてしまう。さらに、その隙間から湿気・水が混入する場合があります。

裏蓋のパッキンは、特殊な形状に工夫している場合が多く、専用のパッキンが入手できない場合がございます。

オロロジャイオでの修理料金、対応

オーバーホール:¥17,000~

外装にダメージがある場合や、パッキンの入手ができない場合はメーカー修理を案内

ベルト・ブレスレットが壊れてしまった

ブレスレット
ブレスレットは、汗などの汚れがたまる、水分で錆びる事などが要因して破損につながります。
ブレスレットのコマどうしを繋ぐ部分にネジが使用されています。ネジも細いものが使用されているなど、作りが繊細で、破損や錆びにつながることも少なくありません。

ネジ抜きや、ネジ交換をいたします。ベルト全体に錆が進行している場合は、メーカーでのベルト一式交換をお薦めしております。

オロロジャイオでの修理料金、対応

ブレスレット修理:¥10,000~

状態に応じて部品交換。

入手ができない場合は、メーカー修理をご案内。

リューズの石(カボション・スピネル)がとれた、割れてしまった。

マストタンクのリューズ カボション
多くのカルティエの時計に見られる装飾です。様々なシリーズでご依頼があります。
カルティエ(の腕時計)の特徴の一つに、リューズのカボションが挙げられます。衝撃などによって、取れてしまうことがあります。
紛失された場合、違う石を取り付けてしまうと、メーカーに改造と判断される可能性があります。
この場合、以後メーカー修理を受け付けてもらえなくなります。

同じ石は用意できませんので、メーカーでのリューズ交換をお薦めしております。

オロロジャイオでの修理料金、対応

メーカー修理をご案内いたします。

いかがでしたでしょうか? 実は、修理の依頼の多いカルティエの腕時計は、ドレスウォッチが多くです。

こうしたモデルは、ファッショナブルな一方、装飾性が高く複雑な形を用いている事で繊細であったり、防水性能が低いことから、湿気の混入や、錆が出やすいといった特徴があります。

カルティエの時計を長く愛用するためには、定期的なオーバーホールが大切

先にも挙げていますように、こうした理由から他の時計ブランドと比べると、短いスパンでのオーバーホールをお勧めしております。

オーバーホールでは、細部の汚れを落とす事で錆びや、湿気の購入を防ぐことができ、変質した油を取り除き、再度注油することで、部品の摩耗や、破損を減らし、長期的な視点で修理費用を低く抑えることにつながります。

注油に関する記事はこちら:時計修理・オーバーホールの際の注油について

お持ちのカルティエが、不調かな?と思われたら、是非一度オロロジャイオにご相談ください。
時計の状態にあった、適切な修理案内をさせていただきます。

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石田

石田

時計修理専門店オロロジャイオの腕時計修理技師。 アンティークウォッチから高級ブランド時計まで、腕時計の修理に関する情報をおとどけいたします。 趣味:息子と遊ぶ、サッカー/愛用時計:ロレックス エクスプローラー

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