ロレックス REF.6062 バオ・ダイがオークション落札価格の史上最高値を2倍に更新
2017年5月14日にジュネーブにて行われたフィリップスのオークションにおいて、ロットNo.93、伝説のRef.6026が$5,060427(約5億7,000万円)で落札され、ロレックスの時計として史上最高値を記録しました。
このブラックダイヤルにダイヤモンドインデックスをあしらったイエローゴールド製のRef.6062は、ベトナムの最後の皇帝といわれるバオ・ダイの遺品とされており、2002年に遺族によっフィリップスのオークションに出品されたのが初のお披露目となったもの。
画像:phillips.com
2002年には$235,000(約2,800万円)で落札され、やはり当時の最高値を更新していましたが、あれから15年、今回の落札額は実に前回の21倍にも上るものとなったのです。
このオークションの丁度一年前となる2016年5月、同じくジュネーブで行われたフィリップスのオークションにおいて、スプリットセコンド クロノグラフ、Ref.4113によって樹立されたロレックスの歴代最高落札金額、250万ドルはたった1年で更新されることになりました。
バオ・ダイと、このRef.6062にまつわる伝説
バオ・ダイとこのRef.6062との出会いは、1954年4月、第一次インドシナ戦争終結の為の和平会議に参加する為に、スイスのジュネーブに滞在していたときのことでした。
グエン朝大南国の第13代にして最後の皇帝、当時のベトナム国国長であったバオ・ダイは、その時滞在していたといわれるフォーシーズンズ ホテル デス ベルゲスを抜け出してモンブラン通りを渡り、かつてロレックスのリテーラーとして名を馳せた名門ジュエラー、クロノメトリー フィリップ ベガンを訪れました。
画像:phillips.com
一国の王として生まれ育ち、至高の審美眼を持つバオ・ダイは、その店の在庫からは気に入る時計を見つけることが出来ず、「これまでロレックスが作った時計の中で最も珍しく、最も価値のある時計を」との要望を告げ、これに応えてロレックス本社が威信をかけて用意した時計が、この特別なRef.6062であった、といわれています。
ちなみに当時のバオ・ダイの購入価格は4,000スイスフラン、パテック・フィリップの永久カレンダーモデルとほぼ同等の価格であったとフィリップスは説明しています。
Ref.6062 バオ・ダイの希少性
ロレックスは1950年代前半にノンオイスターのRef.8171と、このオイスターケースを採用したRef.6062の2種類のトリプルカレンダームーンフェイズを備えるモデルをリリースしましたが、20世紀初頭の創業当初より、一貫して腕時計の信頼性向上に取り組み続けるロレックスにとって、当時のメカニズムは実用性と耐久性の面において納得がいくものではなかったようであり、1955年のデイデイト登場を待たずして短期間で製造を打ち切ったといわれています。
実際にこれら2つのムーンフェイズを備えるモデルとキリーウォッチが1950年代のうちに生産を終了後、デイデイト以上に複雑なカレンダー機構を持ち、かつロレックスの要求を満たす耐久性と実用性を併せ持つモデルの登場は、2012年のスカイドゥエラーを待たなければなりませんでした。
全てを超越した存在価値を放つ、歴史的なロレックス
その現存数の少なさから、オリジナルコンディションを保った個体の全てがオークションピースとなり得るRef.8171、Ref.6026ですが、一説によればこのダイヤモンドインデックスがあしらわれたブラックダイヤルをフィットしたRef.6026は3本しか製造されなかったとされています。
画像:phillips.com
さらに、製造から60年以上が経過しているとは思えない程の理想的なコンディション、出元の確かさ、そしてそれ以上に「最後の皇帝が愛用した時計」という計り知れない付加価値を併せ持つこのRef.6062。
名実共に時計史上、最も高い価値を認められた時計のひとつということが出来るでしょう。
ロレックス オイスターパーペチュアルref.6062 バオ・ダイ
外装:18KYG
ムーブメント:cal.9 3/4 自動巻、トリプルカレンダー、ムーンフェイズ
情報元:phillips.com、ほか
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