時計の広告写真を見ると、ほとんどのモデルが「10時10分」を指しています。

これは偶然ではありません。
時計好きの方であれば、理由をご存知の方も多いかと思いますが、一般的に「10時10分」が時計の文字盤を見せる時にもっとも美しいと言われています。

今回はその針の位置についてなぜなのか調べてみました。

◼️視覚的なバランス

いくつか理由を探ってみますとまず一番分かりやすい理由は、視覚的なバランスです。

10時10分の針の位置は左右対称に近く見た目が非常に美しい。

また12時位置に多いブランドロゴやモデル名を隠さないという理由もあります。

私たちが店頭で時計をお客様にお見せするときも、無意識のうちに文字盤全体がきれいに見える角度に整えることがありますが

時計は時間を示す道具ですが、同時に「デザインされた工業製品」でもありますからその美しさを最大限に引き出す見せ方もやはり重要ですね。

その完成度が最も伝わる角度が、10時10分とされ多くの広告などでも時計の針はこの位置に置いてあるのです。

これは時計好きの人であれば知っているお話かもしれませんね。

◼️クロノグラフでも整う角度

クロノグラフモデルの場合、
インダイヤルやロゴの位置関係が複雑になります。

10時10分は、それらを邪魔しない。

実際、店頭で写真を撮る際も、針の位置ひとつで印象が大きく変わります。

ほんの数度の違いでも、時計の表情は変わるのです。

クロノグラフという複雑な文字盤であっても機能を邪魔しない位置と言われています。

 

◼️笑顔に見える、という話

少し面白い話に10時10分の形が「笑顔」に見える、という説もあります。

これもよく聞く話で確かに、無意識にポジティブな印象を与える角度ではあります。

ただ、日々時計と向き合う立場から言えば、それ以上に「完成度が最も伝わる位置」という理由の方が大きいように感じます。

さて、理由は主に見た目、その美しさであるようですが、それではこの針の位置がいつ誰が始めたのか。

それについては、詳しい説明が見当たらず、歴史的な情報を調べると、ざっくりと以下のようになります。

 〜1940年代:表示時刻はバラバラ(10:10はまだ“標準”ではない)

初期の時計広告では、表示時刻が統一されていなかった(少なくとも“10:10一択”ではない)ことが指摘されています。

例えばHODINKEEは、1927年のロレックス広告で10:17になっている例を挙げつつ、10:10が一般化するのはもっと後だと述べています。

1950年代ごろ:10:10が「よく見かける標準」へ

HODINKEEは、10:10の表示が広告で一般的になったのは1950年代と説明しています。
(この時期に、ロゴが12時側にあることが多い時計で“見栄えが良い・邪魔しない”という実務上の合理性が効いてきた)

ちなみに「1950年代以前は8:20が多かった」という説明は、複数の解説記事で見かけます(例:PetaPixel)。

 1964年:セイコーは“10:08:42”に固定(10:10系の実務ルールが洗練されていく例)

面白いのは、セイコーの資料によると **1964年以降は「10:08:42」**をカタログ等で採用し、**それ以前は「10:10:30」だったと説明されています。
つまり「10:10」そのものより、
“10時台でロゴと針が干渉しない・見栄えを作る”**という運用思想が、各社で秒単位にこだわりをもって最適化されていったと考えられます。

2017年:心理学研究で“10:10が好意的評価を誘発”が実験で示される

余談ですが「笑顔に見える」「購買意欲に影響」という話は昔からありましたが、2017年の研究で、10:10が快感情・評価に有意な影響を与えたという実験結果が報告されているようです。

※主にHODINKEE、高級腕時計専門のメディアを参考にしています。

◼️【まとめ】10時10分が定着した背景

以上の内容をまとめると、時計の針が10時10分を指すようになったのは、最初から決まっていたわけではありません。
初期の広告では、表示時刻は必ずしも統一されておらず、ブランドごとにばらつきがありました。

1950年代に入ると、広告写真の中で10時10分が次第に多く見られるようになります。

理由はとても実務的です。針が左右に開くことで文字盤全体のバランスが整い、12時位置のブランドロゴやモデル名を隠さない。

さらに、針同士が重ならず、インデックスやサブダイヤルもきれいに見せることができる。

その後、一部のブランドでは10時10分を基準にしながら秒針の位置まで細かく調整するなど、より美しく見せる工夫も生まれました。つまり10時10分は単なる慣習というより、「時計が最も美しく整って見える角度」として、広告の現場で自然に洗練されていった結果と言えるようです。

印刷技術や書籍の発展も相まって広告の形も変わりビジュアル訴求が重要になるとその見せ方の実用性も追求されていったということでしょう。

いかがでしたでしょうか?

私たちが日々店頭で時計を見る中でも、この角度はやはり安定して美しいと感じます。

この針の見せ方にも、試行錯誤による工夫や理由があるんですね😃

 

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加藤

時計買取専門店アンティグランデのWEBサイト運用担当、加藤です。こちらでは、時計のリセールや新作情報など、お客様のお役にたてる情報を発信できるようこころがけております。 アンティグランデは販売・買取をいたしております。お時計のご購入や売却をご検討でしたらぜひご相談ください。 加藤 の紹介ページ instagram twitter Linkedin

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