去る4月9日、今年もWatch & Wondersの開催に合わせて、多くのウォッチメーカーが一斉に新作のお披露目を行いました。
その中で今年も最も熱い視線を集めたロレックス、昨年と打って変わって今年は外装のバリエーション追加に終始したようですが、そんな2024年の新作について、ここに改めてまとめておきましょう。
GMTマスターII Ref.126710GRNR
以前「ロレックス廃版予想 2024年」という記事において、スチール製GMTマスターのベゼルカラーが原点回帰、すなわち黒と赤のツートンやブラックの単色が復活すると盛り上がるのでは?と書きました。
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そして実際にスチール製のGMTマスターIIに新しいバリエーションが加えられ、その希望は部分的に叶えられました。2023年にゴールドモデルとコンビモデルで登場したブラック/グレーのベゼルが、2024年、スチールモデルにも採用されたのです。
これはいかにもロレックスらしい動きのように思えると共に、ロレックスはこのブラック/グレーのベゼルを余程気に入っているのではないか、とも思えます。
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確かに深いブラックとライトグレーのが明瞭なコントラストを描くこのベゼルは、他のカラーのベゼル同様に隙の無い仕上がりに見えます。
またこの新作は、文字盤上のモデル名のロゴと24時間針にグリーンが採用されており、一世代前のブラックベゼルのモデル、Ref.116710LNを想起させる点も、何とも興味深く感じます。
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ブレスレットがジュビリーブレスレットとオイスターブレスレットの2種類から選べるのも、現行の他のカラーのモデルと同様です。
この新しいGMTマスターIIは例年に比べて実際に市場に出回るのが早く、既にセカンドマーケットにも流通しています。2024年6月現在、並行店での新品の販売価格の相場は色違いのRef.126710BLROと同程度で推移しているようですが、今後の推移も気になるところですね。
ともあれ、今後GMTマスターIIの購入を検討する人に、またひとつ強力な選択肢が与えられたことだけは確実なようです。
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デイデイトの新しいバリエーション
18Kゴールド製、またはプラチナ製のモデルのみで展開されるロレックスの最高峰、デイデイトには以下のモデルが追加されました。
デイデイト 40
エバーローズゴールド製、スレートオンブレダイアル、ファセット加工のローマ数字インデックス
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ホワイトゴールド製、ホワイトマザーオブパールダイアル、バケットカットダイヤインデックス
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デイデイト 36
イエローゴールド製、ホワイトダイアル、ファセット加工のローマ数字インデックス
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エバーローズゴールド製、トラペーズカットダイヤモンドベゼル、ブルーグリーンダイアル、バケットカットダイヤモンドインデックス
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今年ロレックスは、デイデイトに意外にも初めてマザーオブパールのダイアルを採用したといいます。
天然石をはじめ、これまで実に様々な素材を文字盤に使用してきたデイデイトですが、製造から歳月を経たそれらの文字盤の中には、曜日表示窓の周辺などに経年変化によるクラックが発生してしまった個体が散見されるのも事実。
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これに対して、色褪せることが無いといわれるセラクロムベゼルや自社配合のエバーローズゴールド等の採用により、単に頑丈で実用性が高いだけでなく、経年耐性にまで配慮するようになった近年のロレックスが、ここであえてマザーオブパールを採用したということは、その経年耐性にもこれまで以上に自信が持てるようになった、ということではないでしょうか。
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またロレックスによれば、トラペーズカットのダイヤモンドベゼルもデイデイトに初採用されたものとのことです。
パーペチュアル 1908 プラチナモデル
近年ポスト・ラグジュアリースポーツの有力候補として、大いに注目を集めるドレスウォッチ。
そんな流れを見込んでか、ロレックスはロイヤルオーク オフショアなどの傑作を生んだウォッチデザイナー、エマニエル ギョエを起用して2014年に発表したチェリーニを、更にスマートかつクラシックに仕立て直し、2023年に1908のコレクションとして発表。
そして2024年、ロレックスはそんな1908のコレクションにアイスブルー文字盤のプラチナモデルを加えました。
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レイルウエイトラックにクオーターアラビックインデックス、スモールセコンドという1940年代のバブルバックを彷彿とさせるダイアルデザインはそのままに、1950年代くらいまで製作されていたハニカムダイアルを思わせる、最新のライスグレイン モチーフが刻まれたダイアルは、あくまでクラシックでありながら、モダンなアイスブルーの発色によってこれまでにない個性を見せています。
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ケース径39ミリ、ケース厚9.5ミリ、トランスパレントケースバック、Cal.7140搭載といったスペックは従来に同じです。
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アリゲーターストラップはブラックとブラウンから選択可能ですが、プラチナ製デイトナの影響か、アイスブルーにはブラウンの方が相性が良いように思えるのは私だけでしょうか。
ディープシー イエローゴールドモデル
従来のスチール製モデルでもケース厚17.7ミリ、重量でデイトナのゴールドモデルに匹敵する220gを誇るディープシー。
2024年、ロレックスはそんなディープシーを何と18Kゴールドで製作しました。
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クロノス日本版によればその重量は322g、プラチナ製のデイトナの重量が約280gであることを考えればやはりかなりの重量感なのであろうことが想像されますが、文字盤周りの見返し部にある耐圧リングをセラミック製に置き換えるなど、幾らかの重量対策らしき変更が行われているようです。
鮮やかなブルーで統一された顔もディープシー初のもの。
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文字盤はブルーのポリッシュラッカーダイアルを採用、サブマリーナ デイトのサンレイ仕上げのロイヤルブルーダイアルとは違った個性を与えられています。
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尚、この新作発表を機に、全てのディープシーからシードゥエラーのロゴが消え、ディープシーが単独のコレクションとしての展開に変更されたことも、ファンにとって見逃せないことでしょう。
コスモグラフ デイトナ
2023年にフルモデルチェンジを果たしたデイトナに、2024年はダイヤモンドベゼルやシェルダイアル等の新しい仕様が加わりました。新作を整理すると、
Ref.126589RBR
ホワイトゴールドケース、オイスターフレックス ブレスレット、8Pダイヤモンド入りホワイトMOP(マザーオブパール)/ブラックMOPダイアル、36個のダイヤモンド入りベゼル
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Ref.126539TBR
ラグにダイヤモンド入りのホワイトゴールドケース、オイスターフレックス ブレスレット、スチールダイアル、36個のダイヤモンド入りベゼル
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Ref.126579RBR
ホワイトゴールドケース、ブレスレット、8Pダイヤモンド入りブラックMOP/ホワイトMOPダイアル、36個のダイヤモンド入りベゼル
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その仕様を流し見ただけでも、実機をお目にかかれる機会が果たして何度有るだろうか、と心配になってしまう程に希少性が高いであろうモデルばかりです。
特に異色のMOPの組み合わせによるダイアルは恐らくは初登場と思われますが、デイデイトの項で触れた通り、やはりMOPダイアルにまつわる何らかの発見が有った、ということなのでしょう。
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とすれば、今後これまでにないMOPダイアルが次々と登場、などといったこともあるかもしれませんね。
スカイドゥエラー
革新的な実用性と判読性を誇る年次カレンダーを最大の特徴とするスカイドゥエラーに、新設計のジュビリーブレスレット付きのモデルが加わりました。具体的には
Ref.336935
エバーローズゴールドケース、ジュビリーブレスレット スレートダイアル、チョコレートダイアル、ブルーグリーンダイアル、ホワイトダイアル
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Ref.336938
イエローゴールドケース、ジュビリーブレスレット シャンパンカラーダイアル、ブライトブラックダイアル、ホワイトダイアル
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以上の全7モデルが追加されています。
ゴールド製のジュビリーブレスレットは重量感がそのしなやかさを際立たせる、一際に快適な装着感に特徴がありますが、経年による摩耗が早いという特徴もしばしば指摘されてきました。
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これに対して新作では、ブレスレットのリンクの内部にセラミック製のインサートを備えることで、よりしなやかで耐久性に優れるものとなったといいます。
このブレスレットの技術も今後、他のモデルに広まっていくのではないでしょうか。
おわりに
ロレックスの売上は2023年、時計市場の三分の一を占める100億ドル以上に達したといわれていますが、今もその勢いが収まる要素が全く思いつかない状況です。
そして一見単なるコスメチェンジばかりに見えた2024年の新作達の中にも、ロレックスなりのさまざまな挑戦や進化を見ることが出来ました。
一体ロレックスの躍進はどこまで続くのか、今後の動向に注目していきましょう。
情報元:www.rolex.com
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