経年の風合いやオーナーの使い方などで、同じものが1本と存在しないヴィンテージ時計。
多くのブランドの中でも、特にヴィンテージ ロレックスに至っては、非常に人気で、デイトナ・サブマリーナなど、初期のものには数百万の価値がついているものもめずらしくありません。
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ヴィンテージ時計としての価値を落としてしまうことも
そんなヴィンテージロレックスですが、知らず知らずのうちにヴィンテージ品としての価値を大きく落としてしまうことがありまQす。
保存方法や、扱いが悪くコンディションを悪くしてしまった場合?…
それももちろんですが、代表的な例に「日本ロレックスにオーバーホールを依頼して、文字盤や針が新しいパーツに交換されてしまった場合」がこれにあたります。
ではどうすればよいのでしょうか?
そこで今回は、日ロレにヴィンテージ時計のオーバーホールや、修理をお願いした場合のリスク、そして風合いや価値を損なわないための対策などをご紹介いたします。
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INDEX 目次
- ヴィンテージロレックスの価値を維持するために
- ケース・ベルト磨きはするべき?
- 針交換はするべき?
- 文字盤交換はするべき?
- 風防交換はするべき?
- ケース交換はするべき?
- ベゼル交換はするべき?
- ヴィンテージロレックスの価値を残すために
ヴィンテージロレックスの価値を維持するために
まず日本ロレックスオーバーホール依頼をして、文字盤や針の交換が行われた場合、風合いがなくなったり、初期のデザインと変わってしまい、価値が落ちてしまいます。
依頼者側として不本意ですが、メーカー側としては問題なく実用可能な状態まで修理をし、お戻しすることが大前提ですので、仕方がありません。
こういった事を起こさないよう、以下に修理例とヴィンテージロレックスの価値を維持するための対策、さらに当店オロロジャイオにご依頼いただいた場合の対応についてまとめました。
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ケース・ベルト磨きはするべき?
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日本ロレックスだと
オーバーホールの際など、基本的に何も伝えなければ自動的に研磨が施されます。
綺麗になりすぎてしまってヴィンテージ感が無くなってしまったり、磨きを何度も行う事でケースの角が丸くなる・痩せる、ベルトのヨレが進んでしまうなど、ヴィンテージロレックスファンが好まない状態になります。
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対策
ケース磨きは断りましょう。
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オロロジャイオに依頼すると
お客様から研磨の依頼があった場合でも、時計の希少価値や状態によっては説明をし、ご納得いただいた上で対応いたします。
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針交換はするべき?
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日本ロレックスだと
針の夜光塗料が、経年劣化している場合は交換を案内されます。
夜光塗料は元々粉末状のものを溶かして固めていますので、粉状または割れて剥がれていきます。それがムーブメント内に入り込むなどすると精度・動作に悪影響をあたえますので、当然メーカーとしては交換を提案します。ヴィンテージロレックスの針の夜光塗料は、トリチウム(1960年代より前はラジウム)という「自発光塗料」を使用しており、放射性物質の為、すでに使用されていません。
トリチウムは12年以上経過しますと、ほぼ発光しなくなり、役目を果たさなくなります。しかし焼けてエイジングが現れる点に希少価値があり、ヴィンテージロレックスファンにとっては、非常に重要なポイントとなっています。
現在は「蓄光塗料」ルミノバが使用されています。ルミノバは良く光るので、ヴィンテージの風合いを損ねてしまいます。
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対策
針の状態が悪い場合は日ロレに修理に出さない
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オロロジャイオに依頼すると
針は基本そのまま使用します。細心の注意をはらい、お取り扱いいたしますが、針の脱着等で割れたり、ヒビが入るリスクはどうしても拭えません。
割れてしまった場合はルミノバでの修復とさせていただきます。ご了承くださいませ。
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文字盤交換はするべき?
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日本ロレックスだと
劣化がみられる場合は交換を案内されます。
文字盤表面の塗料も、割れてしまうこと(クラック)があります。長く使用するという目的では交換したほうがよいのかもしれませんが、塗料のひび割れも“スパイダー文字盤”などとかっこいい表現を用いて高額で販売されている場合もあります。
また針同様、文字盤のインデックスにもトリチウムが使用されており、夜光塗料はルミノバへ変更されます。さらに文字盤の書体も変わってしまい当初の風合いや、ヴィンテージとしての価値は大きく損なわれてしまいます。
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対策
文字盤の状態が悪い場合は日ロレに修理に出さない
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オロロジャイオに依頼すると
文字盤は基本そのまま使用いたします。状態が悪い場合は、針の脱着等でひび割れ進行のリスクがあることをご納得いただいた上で、作業に取りかからせていただきます。
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風防交換はするべき?
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日本ロレックスだと
ほぼ交換の案内がされます。発売当時のものと現在では、形状が若干変わってまいります。この辺はヴィンテージ的な価値という意味では、文字盤や針に比べて影響は少ない部分です。
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対策
風防の交換をしたくない場合は日ロレに修理に出さない
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オロロジャイオに依頼すると
状態によっては交換を提案します。こだわりが強ければそのままでもよいと思います。プラスチックはキズがつきやすい分、研磨で傷を消す(目立たなくする)ことができます。ひび割れや欠けがあれば、強度や防水性も下がりますし、素材はプラスチックですから、新しいものの方が防水性は多少良くなります。普通の修理であれば交換したほうがよいと思います。形状が若干変わるのはご容赦ください。
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ケース交換はするべき?
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日本ロレックスだと
錆が強くでているなど、劣化が進んでいる場合は交換を案内されます。この場合、別のシリアルナンバー(No.44~ or No.47~)が入ったケースに交換され、当初のシリアルナンバーは裏蓋に刻印されます。
ケースの交換は、修理料金がとても高額で、さらにヴィンテージとしての価値も下がります。 -
対策
ケースの状態が悪い場合は日ロレに修理に出さない
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オロロジャイオに依頼すると
可能な範囲で錆は落とします。しかしこういった場合、10気圧試験をクリアする個体は少なく、防水性の回復は困難です。
製造からかなりの時間が経っている時計は、非防水時計として水気に気をつけてご使用をお願いしております。
裏蓋が錆びて固着している場合や、スクリューバックのねじ山がネジ切れてしまっている場合は修理対応できないこともございます。
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ベゼル交換はするべき?
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日本ロレックスだと
割れやルミナスポイントの劣化、破損がある場合は交換を案内されます。ベゼルもオリジナルと、新しいものでは書体がわずかに違ってきます。こういった書体もヴィンテージロレックスファンにとっては重要なポイントです。
また好みの部分ではありますが、GMTの赤青だったり、サブの黒色が退色して薄くなっているのも、エイジングを感じさせてかっこいいですね。ベゼルは返却を希望すれば、回収されずに戻ってきます。依頼の際にしっかり伝えましょう。
余談ですが、現行モデルではセラミックベゼルが採用されていますので、紫外線の退色によるエイジングは楽しめなくなっています。
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対策
必ず返却を希望する
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オロロジャイオに依頼すると
元々のベゼルを使用します。ネットオークションなどでは、代用ベゼルや、ルミナスポイントが販売されていることもありますが、弊社ではベゼルの調達および、明らかにオリジナルではないと判断したベゼルは、交換をいたしておりません。
また交換対応をお受けする場合でも、ベゼルディスクにはストレスが加わります。中古品や元々粗悪なものは、割れるリスクも0ではありません。そういった責任は負いかねますので、予めご了承いただいた上、交換作業をいたします。
ヴィンテージロレックスの価値を残すために
いかがでしたでしょうか?
日本ロレックスでのオーバーホールは、実用的な部分で考えると、対応できることは全て行っていただいた方が間違いなく良いです。保証も2年間つきます。
さらに古い年代の時計は、日本ロレックスで定期的にオーバーホールを行ってないと、修理を受けてもらえなくなるというデメリットも出てきます。
一方で、ヴィンテージ時計の風合いや価値を残すため、オリジナルの状態を保ちたいのであれば、日本ロレックスに出さないという選択肢をとることとなります。
防水性や耐久性という部分には目をつぶり、丁寧に使用してグッドコンディションを保つことで、時計の価値は保たれます。
オーバーホールや修理をお考えの際は、一つの参考にしていただければ幸いです。
【時計修理専門店オロロジャイオ】
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石田
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