ティファニー ダイヤル

The Tiffany Blue ~ Patek Philippe Ref.5711/1A-018

5711/1A、最後の年

2021年1月、パテック・フィリップ社長のティエリー・スターン氏は、同年をもってノーチラスのスチールモデル、5711/1Aの生産を終了する事、そしてこの大人気モデルの「ウイニングラン」として、新作を用意している事を発表しました。
その後に発表されたオリーブグリーン文字盤の5711/1A-014を持って、5711/1Aは生産を終了したと思われました。

オリーブグリーン・ソレイユ文字盤
画像:www.www.patek.com

以前の記事でもお伝えした通り、ティエリー・スターン氏の「このウイニングランは更なる悲劇を巻き起こす」との予言は見事に的中し、入手困難を極めた5711/1A-014をめぐって、歴史的と表現するに相応しい、世界中を巻き込んだ激しい争奪戦が巻き起こったのです。

ノーチラス 5711/1A-014に関する記事
2021年新作ノーチラス5711/1A-014

定価400万円程度で発売されたはずの5711/1A-014は、セカンドマーケットに約4,000万円のプライスタグを付けられてデビューし、それでも市場から信じられない程のスピードで消えていきました。
そしてこの新作のみならず、ノーチラスの全モデルの極端な供給不足が続く中、不意に顔を表したかと思えば直ぐに消えてしまう状況が続き、やがて切望しても叶わない夢と化していったのです。

ティファニーブルーの衝撃

しかし5711/1A最後の年はこのまま静かに終わることはありませんでした。
2021年12月6日、新しいノーチラス、しかも誰もが知るティファニーブルーの文字盤を備えるスチール製のノーチラスが突如として発表され、世界中の時計ファンに2021年最大級の衝撃をもたらしたのです。

パテックフィリップ Ref.5711/1A-018
画像:www.phillips.com

その文字盤の6時位置には、ティファニーのロゴがプリントされており、それが確かにティファニーの為に製作された時計であることを物語っていました。
パテック・フィリップとティファニーのパートナーシップの下に生まれた、いわゆるダブルネームはそれだけで非常に高いコレクション価値を持っていますが、そのほとんどはレギュラーモデルにパートナーのロゴを刻んだ程度の「目立たない」ものであり、これだけパートナー側に寄せた、「一目でそれと分かる時計」を作ることは極めて稀といえますが、それを他ならぬ5711/1Aでやって見せたのです。

Tiffany Blue
画像:www.phillips.com

オリーブグリーンのノーチラスが大変なことになっている状況の下で登場したこの時計は、ほとんど全ての時計ファンにとって到底叶うはずもない夢に終わることは、発表された時点で確定していたようなものですが、これが生産数が極限られたグランド・コンプリケーションのようなものならまだしも、それは三針デイト付きのベーシックモデルなのです。
パテック・フィリップの長い歴史の中でも、これまでそんな新作発表が果たして何度あったでしょうか。

ティファニーブルーの行方

このあまりにも特別なノーチラスは、ティファニーとパテック・フィリップのパートナーシップの170周年を祝う、170本の限定モデルとして登場し、ティファニーのニューヨーク本店、ビバリーヒルズ、サンフランシスコの3店舗のみで販売されますが、その170本中の一本が先行してフィリップスのオークションにチャリティーの為に出品され、大いに話題を呼びました。

フィリップス 
画像:www.phillips.com

12月6日にお披露目され、その5日後のオークションに出品されたというのもその異例ぶりを表しているかのようですが、この時計の定価である52,635ドルを参考にしたのか、50,000ドルというエスティメートでロットナンバー1を飾ったこの時計は、6,503,500ドル(約7億3,800万円)にて落札され、時計として歴代で8番目の高額落札を記録したのです。

ノーチラス ティファニーブルー 約7億3,800万円 
画像:www.phillips.com

このオークションによる収益は、非営利の世界的な自然保護団体である「The Nature Conservancy」に100%寄付されたといわれています。
ティファニーの3店舗に通う上顧客だけに絞ったとしても、170本程度では到底足りるはずはなく、ティファニーの顧客以外にとってはこのオークションが唯一の入手のチャンスであったということになります。

これが本当の「ウイニングラン」であったのか

オリーブグリーン文字盤の5711が登場した時、ティエリー・スターン氏の語った「ウイニングラン」はこれだと誰もが疑わなかったでしょう。
しかしこうして、更なる過剰なまでの演出が最後の最後に待ち構えていたのです。
考えてみれば、生産終了をここまでのお祭り騒ぎで迎えた時計は過去に無かったはずであり、5711/1Aは最後まで本当に特別であった、と時計史に刻まれることでしょう。

もうひとつのティファニーブルー

2022年1月23日、もう一つのティファニーブルーがSNSを騒がせました。
その時計は5740モデル、ノーチラス永久カレンダーのティファニーブルー文字盤を備えるオンリーピースであり、投稿主は2021年にティファニーを傘下に加えたLVMHのCEO、ベルナール・アルノ―氏。

LVMH CEOベルナール・アルノ― ノーチラス5740
画像:フレデリックアルノー氏SNSアカウント

これは何かの予告なのでしょうか?
としてもパテック・フィリップが世界中に行き渡るほど大量の5740モデルを生産するはずもなく、またホリーグレイルがひとつ増えるに過ぎないのですが。

パテックフィリップRef.5711/1A-018 

ティファニー提携170周年記念 ティファニー(ニューヨーク)限定販売
文字盤:ティファニーブルー
ケース、ブレスレット素材:ステンレススチール
ムーブメント:26-330 SC
製造数:170本

情報元:www.phillips.com ほか

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加藤

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