ノーチラス 5711/1A-014

孤高の存在、パテック・フィリップ

最も高貴なウォッチメゾンといえば、やはりパテック・フィリップしかないでしょう。

スターン一族の財産のみで運営されるパテック・フィリップには、経営者本人が売りたくないプロダクトを売る理由も、大切なプロダクトを売りたくない相手に売る理由も、存在しないのです。

世界がどのように変化したとしても、パテック・フィリップは常に特別な存在であり続ける、真に類稀なる存在なのです。

ステンレススチール製の5711モデルの生産終了

そんなパテック・フィリップは2021年1月、同社の数あるコレクションの中でも、現時点で最高の人気と最多のウェイティングリストを抱える、ステンレススチール製の5711モデル、ノーチラスの製造終了を宣言しました。

ブレスレット

1つのプロダクトだけでなく、ブランド自体を守らなければならない。そしてスチール製のモデルをパテック・フィリップの中心に据えることはありえない。

パテック・フィリップ社長、ティエリー・スターン氏は、その理由をこう説明しました。

5711/1Aのウイニングラン

そしてティエリー・スターン氏の宣言通り、5711/1Aモデル最後のウィニングランとして、最終リファレンスとなる5711/1A-014を与えられた時計のデリバリーが始まったのです。

ヒンジ

高貴なるグリーンダイヤル

最終モデルとなることを決められてリリースされたこの5711/1A-014は、2021年のトレンドともいわれるグリーン系のカラー、パテック・フィリップがオリーブグリーンと称するカラーに染められた文字盤を持つものでした。

下地に施された繊細な筋目仕上げを浮き上がらせながらも、見事な発色を見せるグリーンの文字盤は、グリーンの被膜が均等で、かつ極めて薄く仕上げられている事を示しています。

オリーブグリーン・ソレイユ文字盤

そしてそのこだわりはグリーンの文字盤の上でムラ無くはっきりとした白を呈しながら、極めて薄く平面的に印刷されたブランドロゴにも共通しています。

スイス屈指の文字盤製造会社を経営し、高品質の文字盤の何たるかを知り尽くしたスターン家の審美眼にかなう文字盤しか作らない、そんな自らが納得できる品質を維持するために手間暇を惜しまない姿勢が、全てのパテック・フィリップのプロダクトに貫かれているのです。

5711/1Aというリファレンス番号が示す通り、搭載されるムーブメントは従来の5711モデル同様にキャリバー26-330 SCであり、外観にも少なくともすぐに気付けるような変化は無いようです。

26‑330 SC 自動巻

この新作は単なる色違いといえばそれまでですが、伝説的なウォッチデザイナー、ジェラルド・ジェンタ氏最大の成功作の遺伝子を直接的に受け継いだ5711モデルのみが持つ存在感は、多くの愛好家にそんな簡単な扱いを決して許容するものではないでしょう。

市場の異常なまでの熱狂

そして「このウイニングランは更なる悲劇を巻き起こす」とのティエリー・スターン氏の予言通り、この時計がリリースされるや否や、時計史上前例の無い、正に歴史的な争奪戦が始まりました。

www.chrono24.jp
画像:www.chrono24.jp

2021年8月現在、パテック・フィリップが設定した税込定価、401万5千円に対し、10倍程度の市場価格で流通するこの新作は、それでも現在、実際に売りに出されている個体をほぼ発見する事が出来ないのです。

次々と生み出される新たな付加価値

2020年初頭に5711モデルのムーブメント変更が行われ、キャリバー324 SCから現行のキャリバー26-330 SCへと積み替えられていますが、同年の1月に生産終了が発表された5711/1A-011、スチール製のシルバリーホワイト文字盤のモデルにも、新型のキャリバー26-330 SCを搭載したものがごく少数のみ存在する事は、愛好家の間では良く知られた事実でしょう。

5711/1A-011 ホワイト

この生産数が極端に少ないと思われるホワイト文字盤の5711/1Aは、部品の在庫状況によってたまたま生まれたものなのか、もしくはこのホワイトダイヤルのモデルの「ウイニングラン」であったのかは不明ですが、将来的により高い付加価値をもたらす可能性に満ちている事だけは確かでしょう。

そしてグリーンの文字盤を持つノーチラスとして初登場となった今回の新作もまた、その生産本数を明言している訳ではないにせよ、2021年中にはデリバリーを終了すると思われ、世界の情勢に余程の変化でもない限りは、今後更なる付加価値をもたらすことは確実でしょう。

絶対的な存在、パテック・フィリップ

本人達が意図する、意図しないに関係なく、こうして次々と発生してしまう新たな付加価値は、パテック・フィリップというメゾンが「絶対的な存在」であることの証明であり、ブランディングという高度なマーケティングの圧倒的な成功例と表現することも出来るでしょう。

ティエリー・スターン氏は、一つのモデルを生産終了にすれば、また新たなものを製作する事が出来る、とも発言していたようです。

ノーチラス 5711/1A-014

ノーチラスのコレクションを全て廃止してしまう事は今のところ考えにくく、また近い将来、ノーチラスのベーシックモデルが更に魅力を増して登場することになるかもしれませんね。

パテックフィリップ ノーチラス 5711/1A

ムーブメント: 26‑330 S C
文字盤:オリーブグリーン・ソレイユ
防水性能:12気圧

情報元:www.patek.com

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加藤

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