ロレックス デイトナ The Oyster Sotto 6263ポールニューマン

デイトナ・アルティメイタム

2018年5月10~12日、フィリップスはスイスのジュネーブにて、選りすぐりのロレックス コスモグラフ デイトナを特集した「デイトナ・アルティメイタム」と題したオークションを開催しました。
 
そこに集められたのは、後にも先にもたった1本しか存在しないといわれるホワイトゴールド製のRef.6265「ユニコーン」をはじめ、文字盤にアラビア語の数字インデックスがプリントされたRef.6263やブラックのポールニューマンダイヤルを持つRef.6240など、幻のようなタイムピースばかり、コレクションの対象としても、投機対象としても安定した最高の価値を認められたデイトナばかりが32本も集まったとあって、その会場は尋常ならざる熱気に包まれました。

デイトナアルティメイタム phillips
画像:phillips.com

異常な熱気に包まれた会場

そしてその熱気の中でユニコーンが歴代2位となる約6億4千万円まで上り詰めたほか、4本ものスチール製のデイトナが1億円以上の落札価格を記録、売上総額にして22,184,500スイスフラン(約24億円)という、たった32本の時計によって生み出された売上金額とは思えない、歴史的な結果を生み出したのです。
 
2013年11月に開催されたクリスティーズのオークション、「レッスン1」にて初めてスチール製のデイトナRef.6263、RCOが100万スイスフランを突破して以来、デイトナにそれまで以上に信じられない価格がコンスタントに付いてしまうようになっており、今回の「デイトナ アルティメイタム」の結果にもあまり驚けなくなってしまっている人も少なくないかも知れませんが、その当時10万円台で売られた時計が現在その1,000倍の価格で取引されている、これを異常と言わずして何を異常と言うのでしょうか。

「億単位」の常連、OYSTER SOTTO

ここでは今回も出品され、1,662,500スイスフラン(約1億8千万円)という「異常」な価格にまで上り詰めたRef.6263、RCOまたは「OYSTER SOTTO」に注目してみましょう。
その最大の特徴は、12時位置の王冠マークの下のプリントが “ROLEX/COSMOGRAPH/OYSTER”となっていること。

オイスターソットRCO
画像:phillips.com

コレクターの間ではこの三行の頭文字をとってRCO、または通常の “ROLEX/OYSTER/COSMOGRAPH” と区別する為に「オイスターソット(=オイスターが下の意)」と呼ばれています。

その時計はRef.6263の極初期に製作されたイレギュラーモデルのひとつと言われており、現在現存が確認されているといわれる約20本が全て2,085、XXXのシリアル番号の範囲に収まっていると共に、C.R.Spillman社製(CRSの刻印入り)の6239のリファレンス番号が打ち込まれた裏蓋を持ち、すべり止めの溝の浅いタイプのマーク1として分類されるクロノグラフのプッシュボタンと、初期にしか見られない特徴を持つマーク1ベゼルを備えています。

2,085、XXXのシリアル番号
画像:phillips.com

そしてその文字盤は、本来Ref.6262やRef.6264などのプッシュボタンにスクリューロックが無かった時代のモデル、すなわちデイトナがまだOYSTERを名乗っていなかった時代のモデルの為に作られたものであり、元々は王冠マークの下のプリントは “ROLEX/COSMOGRAPH” の二行のみであったものに対して、ロレックスがこの文字盤のストックを新世代のRef.6263に乗せるために、後で “OYSTER” の表記を加えた結果としてこの珍しいRCOダイヤルが生まれたといわれています。
 

左:The Oyster Sotto 6263と右:6239
左:The Oyster Sotto 6263と右:6239(アンティグランデ資料)

誰もが納得できる素晴らしいコンディション

今回の個体は、殆ど黄ばみの出ていない文字盤をはじめ、殆どポリッシュが掛かっていないであろうと思われるケース、新品当時の指掛かりの良さを残すスクリューダウンプッシャー等、経年変化の少ない、理想的なコンディションを維持したもの。

更に驚くべきは、この時計が販売された当時のロレックスのボックスに加えて、1972年11月にローマのペロニというジュエラーにて販売された記録が残されたロレックスの保証書が付属している事でしょう。

ロレックス保証書:1972年11月ローマ ペロニ
画像:phillips.com

デイトナの伝説は守り抜くべきもの

時計の価格が高いと思うかについては、ひとえに買い手の判断以外に基準はないと思われますが、元の価格とここまで差が開いてしまった場合、外装パーツはもちろん、ムーブメントの細かなパーツの一点一点にまで細心の注意を払って複製したとしても、今回の落札価格程のコストがかかるとは思えず、それ故に今後が非常に危うく思えるのは筆者だけではないでしょう。

このオークション市場が今後も永続的に守られていくことを切望して止みません。

デイトナ The Oyster Sotto 6263 ポールニューマン

落札価格:CHF1,662,500
落札日:2018年5月12日
製造年:1969年頃
型番:Ref.6263 “The Oyster Sotto”
ムーブメント: cal.727

情報元:phillips.com ほか

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加藤

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