現代のトレンドの源流
現代にときめくスポーツラグジュアリーウォッチの祖が1972年に誕生したロイヤルオークであることは、時計ファンなら誰もが知ることでしょう。
2022年はそのロイヤルオークが誕生してから丁度50周年にあたる記念すべき年です。
ロイヤルオークは誕生後、何十年にも渡って商業的成功とは無縁であったことも良く知られた事実ですが、実際に機械式時計復興の時代、1992年に発売された20周年記念モデル、Ref.14802STは、限定数の1,000本を売り切るのに4年間を要したといいます。
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マエストロ・ジェラルド・ジェンタ氏は、晩年に受けたインタビューの中で、ロイヤルオークが、そして自分自身が正当な評価を受けるまでに、何十年もの間待たなければならなかったことを語りましたが、彼やオーデマ・ピゲはロイヤルオークが内包する普遍的な価値を初めから理解していたのでしょうか、ロイヤルオークをあくまで大切に育て続けたのです。
画像:www.audemarspiguet.com
「正当な評価」を遥かに越えた「熱狂」
ロイヤルオークが、とりわけそのフラッグシップモデルであるエクストラシンが正当な評価を受け始めたのは、40周年の記念に”AP”ロゴが文字盤上の12時位置から6時位置に移動し、発表当時のレイアウトに戻った2012年のRef.15202からでしょう。
その後、特にスティール製のRef.15202STは世界中の時計ファンを中心としてフォロワーを集め続け、やがて投資家達を巻き込んだ激しい争奪戦となりました。
2021年4月にはRef.15202の終焉が公式に発表されたのを受けて、日本の並行店での販売価格はそれまでの2倍以上にあたる約1,300万円にまで駆け登り、更に2022年1月28日の新作発表に前後して更なる高騰を見せ、2月の下旬には定価385万円に対して販売価格2,200万円という異常事態となったのです。
画像:www.chrono24.jp 2022年3月18日現在
2022年新作 ロイヤルオーク エクストラシン Ref.16202
それでは、オーデマ・ピゲやメディアが伝える情報を元に、新作Ref.16202について、その詳細を見てみましょう。
現在発表されているエクストラシン Ref.16202のバリエーションは以下の通りです。
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・16202ST.OO.1240ST.01 税込価格 385万円
ステンレススチールケース、ブレスレット、ナイトブルー、クラウド50のプチタペストリーダイヤル
・16202BA.OO.1240BA.01
イエローゴールドケース、ブレスレット、スモークイエローゴールドカラーのプチタペストリーダイヤル
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・16202OR.OO.1240OR.01 税込価格 814万円
ピンクゴールドケース、ブレスレット、スモークスレートグレーのプチタペストリーダイヤル
・16202PT.OO.1240PT.01 価格要問合せ
プラチナケース、ブレスレット、スモークグリーンダイヤル
発表はされたもののオーデマ・ピゲによる生産数はこれまで通り極限られてしまうであろうことから、この先一般に出回る事があるのかについては不明ですが、先代のRef.15202から価格を据え置いている点に企業努力を感じますね。
ニューモデルの変更点について
外観上は2種類のゴールドモデルの文字盤が変更されていること以外に大きな違いは見当たりませんが、このRef.16202では、伝統のキャリバー2121から自社設計のキャリバー7121へアップデートされた点が何より大きいでしょう。
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伝説的な名機、キャリバー2121
キャリバー2121といえば、1967年初出のジャガールクルト製のキャリバー920をベースとしており、パテック・フィリップではキャリバー28-255としてノーチラスのオリジナルである3700モデルに搭載され、更にはデザインを担当したヨルグ・イゼック氏がこれらのジェンタ作品に大いに影響を受けたと後年のインタビューで明かした、バシュロン・コンスタンタンの222にもキャリバー1120として搭載されたもの。
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その発表当初、センターローターのデイト付き自動巻ムーブメントとして世界最薄を誇ったこのムーブメントは、ロイヤルオーク エクストラシンの象徴であると共に、「スポーツラグジュアリー」の象徴でもあったのです。
この名機と呼ぶに相応しいムーブメントは、組立てや調整に大変コストが掛かる真の高級機であり、ジャガールクルトでは2000年前後にその生産・供給を終了していますが、オーデマ・ピゲがその設計に出資し、2002年からは自社に生産ラインを構築、2021年までの19年間に渡って生産を続けてきたのです。
しかし基本設計から既に55年の歳月が経過しており、21,600vph、40時間のパワーリザーブというスペックは、現代のロイヤルオークには不釣り合いであるとの判断に、反対者は少なかったことでしょう。
エクストラシンのケースサイズはそのままに
5年に及ぶ開発期間を経て発表に漕ぎ着けた新しいムーブメント、キャリバー7121は、自動巻、二針、日付表示というこれまで同様の機能を備えながら、現代のオーデマ・ピゲらしい設計が際立つ、28,800vphと55時間パワーリザーブ、そしてカレンダーの早送り機能も搭載しました。
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その結果としてキャリバー2121の直径28.00ミリ、厚さ3.05ミリに対してキャリバー7121では直径29.6ミリ、厚さ3.20ミリと若干の大型化を伴いましたが、これを収めるケース側を工夫することで、1990年以来不変としてきたケース径39ミリ、ケース厚8.1ミリを今回も維持したことに、オーデマ・ピゲの強いこだわりを感じます。
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デリバリーについて
世界中に熱狂的なファンを持つオーデマ・ピゲの、時計づくりの姿勢は良い意味で揺らぐことはないでしょうから、生産可能な本数も極限られてくるでしょう。
こうして発表されても、当分は限られた範囲での流通に留まり、なかなか現品を手にすることは叶わないであろうと予想されます。
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公式サイトには既に全ての新作が掲載されており、来店予約のボタンも付いていますが、実際に来店予約を試みた場合、どのような返事が返ってくるのでしょうか。
ともあれ、ロイヤルオーク エクストラシンが変わらぬ姿で今後も存続する、それだけで充分過ぎるビッグニュースなのです。
ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン 16202ST.OO.1240ST.01
外装:ステンレススティール
ケース径:39㎜
ケース厚:8.1mm
防水性:5気圧
ムーブメント:cal.7121 自動巻き
パワーリザーブ:約55時間
ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン 16202BA.OO.1240BA.01
外装:18K イエローゴールド
ケース径:39㎜
ケース厚:8.1mm
防水性:5気圧
ムーブメント:cal.7121 自動巻き
パワーリザーブ:約55時間
ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン 6202OR.OO.1240OR.01
外装:18K ピンクゴールド
ケース径:39㎜
ケース厚:8.1mm
防水性:5気圧
ムーブメント:cal.7121 自動巻き
パワーリザーブ:約55時間
ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン 16202PT.OO.1240PT.01
外装:プラチナ 950
ケース径:39㎜
ケース厚:8.1mm
防水性:5気圧
ムーブメント:cal.7121 自動巻き
パワーリザーブ:約55時間
情報元:www.audemarspiguet.com
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