目覚ましい成長を続けるONLY WATCH
アルベール2世の後援を受け、デュシェンヌ型筋ジストロフィーという難病の研究を支援する目的で2005年から２年に一度のペースで開催されてきたONLY WATCH。
今年で9回目を迎えるこのオークションが2021年11月6日 、スイスのジュネーブにおいて開催されました。
出品されるタイムピースの全てが、この為だけに製作された一点もののみ、というこの特別なオークションは、回を重ねるごとに目覚ましい成長を遂げてきましたが、第1回目に34点の出品で合計190万7,000ユーロ(約2億6,000万円)を売り上げたのに対して、今回は52点の出品に対して2,974万スイスフラン(約32億7,100万円)もの売上を上げる結果となりました。
ONLY WATCH 高額落札ランキング
今回の高額落札上位5位までを紹介しましょう。
1位 パテック・フィリップ コンプリケーテッド デスク・クロック
Ref. 27001M-001
エスティメート CHF400,000～CHF500,000
落札価格 CHF9,500,000(約10億4,500万円)
２位 F. P. ジュルヌ × フランシス フォード コッポラ FFCブルー
Ref. FFC Blue
エスティメート CHF300,000～CHF400,000
落札価格 CHF4,500,000(約4億9,500万円)
３位 オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク “ジャンボ” エクストラシン オンリーウォッチ
Ref. 15202XT.GG.1240XT.99
エスティメート CHF160,000～CHF320,000
落札価格 CHF3,100,000(約3億4,100万円)
４位 リシャール・ミル RM 67-02 シャルル・ルクレール プロトタイプ
Ref. RM 67-02 CHARLES LECLERC PROTOTYPE
エスティメート CHF270,000～CHF330,000
落札価格 CHF2,100,000(約2億3,100万円)
５位 ドゥ・べトゥーン × ヴティライネン カインド オブ マジック
Ref. Kind of Magic for Only Watch 2021
エスティメート CHF200,000～CHF250,000
落札価格 CHF1,300,000(約1億4,300万円)
絶対的王者、パテック・フィリップ
昨今の国際的なオークションにおいては、落札金額が億単位を越えるのは珍しいことではなくなっていますが、今回も億越えのアイテムが5点誕生、加えて全52点の落札金額の平均も6,300万円に達しており、その注目度の高さに改めて驚かされる結果となりました。
この熱狂ぶりには、もはや一般の時計ファンの入り込む余地など無い事を感じざるを得ませんが、中でも合計落札額の約1/3を占め、今回もオークションの主役となったのはパテック・フィリップでした。
今回パテック・フィリップが出品したアイテムは、その名の通り複雑なメカニズムと高貴なデザインを併せ持つ、充分に魅力的なものであることに違いは有りませんが、それでもテーブルクロックの落札価格がエスティメートの19倍にまで伸びたのは、パテック・フィリップのみが成せる業といえるでしょう。
エスティメートの在り方について
近年では、時計の投資価値を大きく評価する流れが強まっている事から、オークションハウスが設定するエスティメートが、実際の落札額と何ら関係ないものとなってしまっている例が後を絶ちません。
今回のオークションにおいても、例えばチューダーのブラックベイGMTワン、Ref.7983/001Uに付けられたエスティメート4,000～8,000スイスフランに対して、実際の落札額は650,000スイスフラン、すなわちエスティメートの最高額の実に80倍以上で落札されています。
画像：www.christies.com/
このエスティメートと落札額のとてつもない開きに、現在ではエスティメートというものの存在意義に疑問を投げかける動きも少なくないようです。
チャリティー活動の類稀なる成功例
オンリーウォッチの創設者であり、主催者でもあるモナコ筋ジストロフィー対策協会の会長、リュック・ペタヴィーノ氏は、
「世界がパンデミック後の時代に突入する中、オンリーウォッチの希望、決意、未来への確信というメッセージが、傑作を提供してくれた時計メーカーのコミュニティ、世界中から参加してくれた時計愛好家や寛大な寄付者のコミュニティの両方に、再び強く響いたことを知り、身の引き締まる思いがしました」
と語っています。
画像：www.christies.com/
このONLY WATCHの類稀なる成功は、今やすっかり投資対象として定着した時計の価格高騰が下支えしている事に違いはないでしょうが、このオークションによる収益によって運営されている研究によって、チームはデュシェンヌ型筋ジストロフィーという難病の克服まであと一歩の所まで来ている、と伝えられています。
「人類は困難を乗り越える為の知恵を備えている」
そんな事を、改めて考えさせられます。
情報元：www.onlywatch.com
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