「Invenit et Fect ~ 発明して製作する」
F.P.ジュルヌの文字盤に添えられた、このラテン語による表記は、ジュルヌ氏の時計が彼自身が発明した、独自性に溢れるメカニズムを持っている事を示していますが、そんなF.P.ジュルヌがONLY WATCH 2021に用意した時計は、映画監督、映画プロデューサー、脚本家、そして実業家であるフランシス・フォード・コッポラ氏の挑戦に応えることで生まれた、極めて独創的な時刻表示を具現化したものでした。
かつてジュルヌ氏がカリフォルニア州のナパバレーにあるコッポラ氏の自宅でディナーを共にしていたときのこと、コッポラ氏はジュルヌ氏に、「手で時間を表示することは出来ないか」と問いかけたのがはじまりでした。
ジュルヌ氏はこれに対して、「面白いアイディアだ、考えてみる必要が有る」と答えながらも、5本の指で12時間を表示するにはどうすればよいのかという難題は彼の製作意欲を掻き立てたのです。
フランシス・フォード・コッポラ氏のイニシャルをモデル名に
それから2年以上かけて構想をまとめ上げたジュルヌ氏へ、コッポラ氏は直ぐに12時間を表示するそれぞれの指の位置のスケッチを送ってきたといいます。
それから7年間もの開発期間を経て、こうしてONLY WATCH 2021という発表の場を得るに至ったのです。
すなわち今回発表されたFFCブルーという作品は、コッポラ氏による「発明」をジュルヌ氏が「製作」した、ジュルヌ氏の作品としては異色の存在であり、かつ映画界の巨匠とのコラボレーションによって生まれた他に類を見ない作品でもあるのです。
16世紀に創られた義手にインスピレーションを得て
コッポラ氏が考案した5本の指を持つ片手で12時間を表示する方法は明瞭で魅力的なものでしたが、問題は手をどのように動かすか、そのメカニズムの開発でした。
今回ジュルヌ氏にインスピレーションを与えたのは、「近代外科学の祖」であり、「義肢装具の父」とも呼ばれたアンブロワーズ・パレ(1509~1590)が製作した、機械式の義手でした。
優れた解剖学者であったが故に、生物の手足と同じように機能させようとして創られたたといわれるその義手は、ボタンを押すと指が開き、2本のバネによって元の位置に戻るという構造を持っていましたが、その動く様は自然な手の動きそのものであったといわれています。
自社製自動巻ムーブメント誕生20周年
2021年はジュルヌ氏にとって初の自動巻ムーブメントをリリースしてから20年という節目の年にあたります。
ジュルヌ氏はこのFFCブルーにおいて、自身の開発した自動巻ムーブメント、Cal.1300をベースとして、文字盤外周にセットされた分表示板を回して12時位置に固定された二等辺三角形のパーツの頂点で分表示を行い、毎正時に瞬時に「手」を動かすことで時表示を行うという独創的な時刻表示を実現しました。
しかもこの一種のオートマタと呼ぶに相応しい複雑機構の全てが直径42ミリ、厚さ10.7ミリのタンタル製のケースに収まり、Cal.1300のメインスプリングによる動力だけで5日間のパワーリザーブとクロノメーターの精度を発揮するのです。
このFFCブルーの為に開発されたムーブメントはCal.1300.3と名付けられ、トランスパレントの裏蓋を通してF.P.ジュルヌならではの18Kローズゴールド製の地板とブリッジ、そしてF.F.コッポラ、F.P.ジュルヌ、そしてアンブロワーズ・パレの三者の名が刻まれた特別な22Kローズゴールド製のローターを鑑賞可能です。
この一際の異彩を放つスペシャルピースに、世界中の時計ファンや投資家が視線を熱くするのも無理はないでしょう。
ONLY WATCH 2021は11月6日に開催されます。
F.P.ジュルヌ x フランシスコッポラ, FFC ブルー
ムーブメント:cal.1300.3
エスティメイト:CHF 300,000 – CHF 400,000
情報元:www.onlywatch.com
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