ONLY WATCH 2019
2019年11月9日、ジュネーブのフォーシーズンズ ホテル デ ベルグにて開催された ONLY WATCH 2019。
何といってもパテック・フィリップによるスチール製のグランドマスターチャイムの落札結果が余りにも衝撃的でしたが、同社のスチール製のグランドコンプリケーションへの注目が大いに高まっている中での結果であり、時計自体も余りにも特別感に溢れるものであっただけに、これはやはり例外的に捉えるべきものと考えた方が良いのかも知れません。
実際に今回も50のメゾンが持ち寄ったオンリーピースばかりが出品された本オークション、当然の事ながら他にも注目すべき時計が目白押しであった事は、ここに繰り返すまでもないでしょう。
その中でも、今回はグランドマスターチャイムに次ぐ2位の高額落札となったロットNo.11、F.P.ジュルヌのアストロノミック ブルーにスポットを当ててみましょう。
画像:onlywatch.com
F.P.ジュルヌとONLY WATCH
アブラアン ルイ ブレゲの再来といわれ、極めて高い評価を集め続けるF.P.ジュルヌは、2015年のONLY WATCHにおいて自身の代表作であるトゥールビヨン スヴランにタンタルケースとブルーダイヤルの特別な外装を与えたトゥールビヨン スヴラン ブルーを55万スイスフランで販売。
画像:phillips.com
更に2017年には同じくタンタルケースとブルーダイヤルを備えるモノプッシャー スプリットセコンド・クロノグラフを115万スイスフランで販売、これは独立時計師が樹立した最高落札額となりました。
画像:fpjourne.co.jp
しかしこれは、スイスの伝統的なウォッチメイキング技術を保護していく為に始まった「タイム イーオン」の Naissance d’une Montre(時計の誕生)プロジェクトの初めての「生徒」、ミシェル・ブーランジェ氏がグルーベル・フォーシー、およびフィリップ・デュフォー氏の指導の下に製作した腕時計のプロトタイプ、セミスケルトン・トゥールビヨンが2016年5月に香港でのクリスティーズのオークションにて記録した11,296,000香港ドル(約1億6130万円)を越えることは出来ませんでした。
アストロノミック ブルーについて
2019年のONLY WATCHにおいてお披露目されたアストロノミック ブルーは、2019年末に発表することになる超複雑天文時計、アストロノミック・スヴランのスチールケースをタンタルに、文字盤をグレーからブルーに改めた形で先行発表したものであり、世界中のコレクターの注目を大いに集めました。
画像:onlywatch.com
アストロノミック ブルーが搭載するキャリバー1619は、その名の通り恒星時間表示、均時差表示、等の他、ミニッツリピーター、ル モントワール付きミニット・トゥールビヨン、年次カレンダー、デュアルタイム、ムーンフェイズ等の18の機能を持つ超複雑機ながら、その操作はリューズとリピーターレバーのみという驚異的な実用性を誇るもの。
画像:onlywatch.com
ONLY WATCH 2019がF.P.ジュルヌにもたらしたもの
オークション当日、30万~60万スイスフランのエスティメートが付いていたこの時計のモデル名のアナウンスの数秒後、いきなり「100万」の声が上がり、僅か数分後には180万スイスフランまで駆け登ったといいます。
画像:onlywatch.com
レギュラーラインのアストロノミック スヴランの定価が約1億円といわれていますが、そのプロトタイプでもあるアストロノミック ブルーの価格が今回その約2倍まで伸び、かつ先述のミシェル・ブーランジェ氏が製作したトゥールビヨンの価格も大きく越えることが出来たことから、製作者のジュルヌ氏にとっては非常に大きな成果であったに違いないでしょう。
画像:onlywatch.com
F.P.ジュルヌ アストロノミック ブルー
落札価格:180万スイスフラン
情報元:onlywatch.com ほか
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