いつもありがとうございます。時計修理専門店オロロジャイオの石田です。(時計修理オロロジャイオについて)
オメガの修理やオーバーホール メンテナンスをご依頼いただく際に、「オメガって壊れやすいの?」といった質問を時々おうけします。時計店スタッフの話や、口コミサイトなどの書き込みが質問の発端のようです。でも、本当にオメガの時計はこわれやすいのでしょうか?
そこで今回は時計修理専門店オロロジャイオに寄せられる、オメガの修理に多い傾向と、その対策を交えながら、オメガの時計は壊れやすいのかどうかを探っていきたいと思います。
壊れたオメガの修理あるあると対策
スピードマスターの修理
有名時計ブランドの中では比較的リーズナブルで、歴史的背景もあり人気の高い時計です。ビジネスマンの方をはじめとして、ヘビーユーズされることの多い時計という印象を受けます。防水性能は多くのモデルで3気圧と低く、機構はクロノグラフゆえプッシャーやムーブメントパーツなどの部品が多い時計です。
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修理内容:遅れる、止まる【依頼多い】
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原因
・油の変質による遅れ。
・部品の破損、摩耗による動作不良。 -
説明
長い間メンテナンスを怠ると、ムーブメント内の油の変質がすすみ遅れが出ます。更にそのまま使用すると部品に負荷がかかり摩耗・破損し、動作不良を起こします。
また防水性能が低いため、濡れるような環境下で操作を行うと、湿気が混入することがあります。放置をすると油の乾き、内部の錆びなどを招きます。 -
対策
定期的なオーバーホール、部品交換をおこなう。
油の変質は3、4年ほどで起こります。そのタイミングに合わせてオーバーホールを行いましょう。内部部品にかかる負荷を最小限にとどめ長い使用が可能となります。またリューズ、プッシャーのパッキンに劣化が見られる場合は交換を行うことで湿気が混入しづらくなります。
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修理内容:ぶつけてプッシャー・リューズが壊れてしまった。【依頼多い】
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原因
・外部からの衝撃。
・主に錆びの発生による強度の低下。 -
説明
プッシャー・リューズの隙間などは形状が複雑で、衝撃には強くありません。更にほこり・汗汚れなどがたまりやすい部分でもあります。汚れたまま放置をしておくと錆びが発生し、強度の低下を招きます。
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対策
細部の溝は、使用しなくなった歯ブラシなどで、こまめなにブラッシング掃除を行いましょう。または、オーバーホールサービスをご利用ください。ケースを含めて超音波洗浄を行いますので、通常はブラシの届かないところまできれいにすることができます。
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修理内容:バックル(クラスプ)の破損【依頼多い】
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原因
・スライドネジの破損。
・内蔵バネなど部品の錆び。 -
説明
バックル箇所のスライドネジが経年の使用により破損する場合があります。また汚れを放置しておくことで、内蔵のバネなどに錆びが発生します。
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対策
スライドネジの破損は、基本的に経年劣化によるものですが、同時にスライドパーツ自体が変形しているケースが見受けられます。無理な扱いをしないことも必要です。内蔵バネなどの錆びは、オーバーホール時の超音波洗浄によって汚れがとれ、予防することができます。
シーマスターの修理
ダイバーズウォッチであるシーマスターは防水性能が高く、ケースまわりが頑丈なつくりとなっているため、湿気の侵入による故障は少ないといえます。またスピードマスターと比較すると、クロノグラフ仕様のモデルが少なく形状がシンプルなシリーズです。
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修理内容:ブレス、バックル(クラスプ)の破損【依頼やや多い】
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原因
・ピンパイプの劣化によるブレスはずれ。
・スライドネジの破損。
・内蔵バネなど部品の錆び。 -
説明
シーマスターのケースは頑丈なつくりであるためにケース本体が重いといった特徴があります。そのため経年の使用によってコマをつなぐピンパイプが劣化し、ブレスがはずれることがあります。スライドネジ、内蔵バネなどのさびはスピードマスター同様に汚れを放置することで発生しやすくなります。
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対策
ピンパイプの劣化は、基本的に経年劣化によるものですが、無理な扱いをしないことも必要です。内蔵バネなどの錆びは、オーバーホール時の超音波洗浄によって汚れがとれ、予防することができます。
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修理内容:リューズのねじ込み不良【依頼やや多い】
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原因
・経年の使用による劣化。
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説明
シーマスターに限らず、ねじ込み式リューズを採用している時計では共通して起こりうる事象です。
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対策
基本的には経年の使用による劣化です。使用しなくなった歯ブラシなどで、こまめなにブラッシング掃除を行いましょう。または、オーバーホールサービスをご利用ください。リューズを含めて超音波洗浄を行いますので、通常はブラシの届かないところまできれいにすることができます。
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修理内容:遅れる、止まる【依頼少ない】
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原因
・油の変質による遅れ。
・部品の破損、摩耗による動作不良。 -
説明
長い間メンテナンスを怠ると、ムーブメント内の油の変質がすすみ遅れが出ます。更にそのまま使用すると部品に負荷がかかり摩耗・破損し、動作不良を起こします。またリューズなどのパッキンは、経年・気温差によって劣化し、湿気が入り油が乾いてしまう事もあります。
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対策
定期的なオーバーホール、部品交換をおこなう。
防水時計ですが、過信によってリューズのねじ込みが甘かったことで、湿気が混入したというケースもあります。濡れる環境で使用する場合は、しっかりリューズを閉めるようにしましょう。油の変質は3、4年ほどで起こります。そのタイミングに合わせてオーバーホールを行いましょう。
オメガの時計 修理の主な要因
ここまで上げたオメガの時計における修理の原因について、以下に要点をまとめてみました。
- ・定期的なオーバーホール(メンテナンス、掃除)をしていない。
- ・衝撃によるプッシャー、リューズの破損。
- ・濡れる環境で操作を行うなど、スペックに見合わない使い方をする。
- ・経年劣化。
主にオーバーホールをする、時計の特性をよく理解して使用するといったことで回避ができることです。これって…
そう、オメガに限らず、多くの時計ブランドにおいて言えることです。
なぜオメガの時計は修理が多いといわれるのか?
オメガは高級時計ブランドの中では比較的リーズナブルなブランドです。手が出しやすいことから、その時計の性能やメンテナンスについて調べず購入したという方も多いのではないでしょうか?
全ての機械式時計はメンテナンスを前提に作られており、定期的なオーバーホールをすることで、数十年と使用することができます。3、4年に一度のメンテナンスをこころがけ、内部部品にかかる負荷を最小限にとどめる事を心がけましょう。
更にオメガは、ロレックスに次いでシェアが大きいブランドです。
修理の数も必然的に多くなるので、目や耳にすることが多いのかもしれません。
修理店の視点で見るオメガの時計
前述のようにオメガは、高級時計ではトップクラスのシェアをもつブランドです。長きにわたって愛されているシリーズが多く、修理依頼も一定量あることから、純正部品はもちろん、代用部品も多く流通しています。部品のコストも低めで、高級時計ブランドとしては、リーズナブルにメンテナンスができるブランドです。
腕時計にはそれぞれ、特性があります。その特性をよく理解して使用することが腕時計を長持ちさせる秘訣です。
【時計修理専門店オロロジャイオ】
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時計修理専門店オロロジャイオの腕時計修理技師。
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趣味:息子と遊ぶ、サッカー/愛用時計:ロレックス エクスプローラー
石田
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