ロレックス 英国軍用サブマリーナ が高額落札

2020年は数あるダイバーズウォッチの中でも屈指の人気と知名度を誇る、ロレックスのサブマリーナが全面刷新を受け、大いに話題を振りまいた年でもありました。

同年の12月12日にフィリップスによって開催された“RACING PULSE” にも、チューダーやシードゥエラー等の派生モデルを含めて全9本のサブマリーナが登場しましたが、今回はその中でも、567,000ドル(約5,954万円)という、最高の落札額を記録したロットNo.19の軍用サブマリーナ、Ref.5517について取り上げてみましょう。

軍用サブマリーナ(ミルサブ、軍サブ) Ref.5517について

1970年頃のこと、当時オメガのシーマスター300 Ref.165.024を採用していた英国軍は、200m防水、ダイビングベゼル、高い視認性を持つブラックダイヤルなど、シーマスター300と共通の仕様を持つロレックスのサブマリーナにも注目するようになったといわれています。

軍用サブマリーナ(ミルサブ、軍サブ) Ref.5517
左:サブマリーナ、Ref.5517 右:オメガ 英国陸軍用 シーマスター300

シーマスター300の機能性に不足を感じていたとのエピソードは見当たらず、その理由は不明ながら、間もなく英国軍はロレックスとの交渉に臨み、サブマリーナの正式採用に踏み切りました。

このRef.5513をベースとする軍用サブマリーナは、1972年から1979年にかけて英国軍に納品されていたといわれており、これらは基本的に英国国防省によるミルスペック DEF STAN 66に指定されたスベック、すなわち

1,剣型の太い短針を持つこと
2,文字盤上にトリチウム夜光を使用している事を示す、丸でかこまれた”T” マークがプリントされていること
3,ストラップを取り付ける為のバネ棒が、固定式のバーに置き換えられていること
4,ベゼルのインサートに1分刻みで60分までインデックスが刻まれていること

以上の一般的なRef.5513とは異なるディテールを持っていたといわれています。

一般的なRef.5513とは異なるディテール

また時計に刻まれたリファレンス番号は当初 ”5513” のままでしたが、途中から一般的なRef.5513との差別化の為か専用のリファレンス番号 “5517” が7時位置のラグの裏蓋側に刻印されるようになり、その後期には本来リファレンス番号が刻印されるべき位置、すなわち12時側のラグ間に “5517” と刻印されるようになったといわれています。

軍用サブマリーナのオリジナリティについて

これらの軍用サブマリーナは、当然の事ながらそのほとんどがダイバーズウォッチとして水中の過酷なミッションで実際に使用さた結果としてコンディションを落としており、その役目を終えて軍から何らかのかたちで放出された後、リペアにおいて一般的なスペアパーツに交換されるなどして、原形を保っている個体は僅かしかない、といわれています。

軍用サブマリーナのオリジナリティ
弊社アーカイブ ref.5517(ref.5513)

また一説によれば1970年代初頭、これらの条件を満たすことでサブマリーナがシーマスター300に似てしまう事を嫌ったのか、または古くから採用を続けてきたメルセデスハンドへのプライドなのか、ロレックスは簡単には英国軍の指示に従わなかったようであり、その初期にはメルセデスハンドのまま英国軍に納品した個体も存在していたともいわれており、オリジナリティの判断をより困難なものにしています。

今回出品された個体について

今回出品された個体には ”5517” のリファレンス番号と、か1977年頃に製造された事を示す”5339610”というシリアル番号がケースの12時側、6時側のラグ間にそれぞれ刻まれており、裏蓋には1979年に英国陸軍に納品されたものであることを示すミルスペックの刻印が有ります。

今回出品された個体について

そしてこの時計には1970年代当時、ロレックスUKにおいて英国軍への納品を担当し、その後ロレックスUKのゼネラルマネージャーを務めたヘンリー・ハドソン氏が2008年に発行した証明書が付属しています。

一般的なメーカーの保証書が存在しないといわれる軍用時計については、メーカーが発行する証明書のもたらす付加価値は決して小さくないといえますが、ロレックスUKはハドソン氏の引退に伴い、この証明書発行サービスを廃止しています。

証明書が付属

この付属する証明書によって、今回出品された個体が実際に1979年の9月にキャッスル・ドニントンの陸軍航空隊に納品された80本の中の1本であることが確認出来ます。

その希少性について

軍用時計は1980年以降、機械式時計よりも安価で衝撃に強く、かつ高精度のクオーツ時計に次々と置き換わっていきますが、近年ではより任務に特化した高度な計測機器や、兵士の私物のカシオなどに置き換わることで、その在り方は時代と共に大きく変化していきました。

いまやラグジュアリーブランドとして、世界最高の知名度と人気を誇るロレックスの時計が、戦場で兵士の生命を預かり、作戦の成功を左右する、本来の意味での軍用時計としてこの先に再び採用されることは、もはや考えにくいといえるでしょう。

この軍用のサブマリーナは、ロレックスの時計が実際にツールウォッチとして活躍していた時代の重要な証拠のひとつとして、歴史的な価値を持っているといえるでしょう。

ロレックス英国軍用サブマリーナ (ミルサブ、軍サブ) Ref.5517(Ref.5513)

落札価格:567,000ドル(約5,954万円)
オークション:Racing Pulse(PHILLIPS)
製造:1977年頃(sir. 5339610)
ムーブメント:cal. 1520

情報元:phillips.com

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加藤

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