幻のロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.16516のラピスラズリ文字盤が2,537万香港ドル(約3億5,000万円)で落札

2020年7月11日のこと、香港で開催されたサザビーズによる “Important Watches” と題するオークションに大変珍しいロレックス コスモグラフ デイトナが出品され、歴史的な落札額を記録しました。

幻のロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.16516のラピスラズリ文字盤が2,537万香港ドル(約3億5,000万円)で落札

その時計は16516という聞き慣れないリファレンス番号とA171132というシリアル番号を持ったものでしたが、ロレックスの時計に関する知識をそれなりにお持ちであれば、リファレンス番号の末尾の「6」で、この時計が只物ではない、すなわちプラチナ製であると気付くことでしょう。

これは1999年に5本のみが製造されたと信じられているRef.16516の中の1本であり、鮮やかなブルーを発色するラピスラズリ文字盤を持つものとして、おそらくは唯一の存在と考えられています。

幻のロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.16516のラピスラズリ文字盤が2,537万香港ドル(約3億5,000万円)で落札

これら5本のRef.16516はロレックスの三代目の最高経営責任者であるパトリック・ハイニガー氏の為に製作され、うち4本はパトリック氏から親しい友人に配られたといわれています。

これら幻のようなRef.16516の中の1本が初めて国際舞台に登場したのは2018年10月2日のこと。

アラビア数字のアワーマーカーを配したブラックのマザーオブパールの文字盤を持った個体で、今回と同じく香港においてサザビーズによって開催された、 “Important Watches” に出品され、6,840,000香港ドル(約1億円)にて落札されました。

幻のロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.16516のラピスラズリ文字盤が2,537万香港ドル(約3億5,000万円)で落札
デイトナref.16516 マザーオブパール2018年のIMPORTANT WATCHESにて落札

このブラックシェル文字盤の個体の裏蓋には、「Francesca-Romain 16.10.1999」都の刻印が有り、この時計が1999年10月16日に行われた、フランチェスカ・ゴッビさんとロメイン・サルドゥさんの結婚式を祝う為に贈られたものであることを物語っています。

実際に、フランチェスカ・ゴッビさんは1842年来の歴史を誇るミラノの名門時計店、ゴッビ1842の経営一族であり、ロレックスと長年に渡って良好なパートーなーシップを育んできた間柄であり、パトリック氏個人としてもゴッビ家と親交が深かったといわれています。

幻のロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.16516のラピスラズリ文字盤が2,537万香港ドル(約3億5,000万円)で落札
画像:www.gobbi1842.com

今回出品されたラピスラズリ文字盤の個体には、裏蓋に ”Pour J-F Gobbi XII 1998” の刻印が有り、これもまたゴッビ家へ、また別のかたちで贈られたものと思われます。

これらは裏蓋の刻印などからも確認できる通り、恐らくは初めてプラチナ950のケースを採用したデイトナとして、信憑性の高いストーリーに彩られた屈指のレアピースであることに、もはや疑う余地は残されていそうにありませんが、2018年時点で約1億円程度で落札出来たのは、その見た目がホワイトゴールド製のレギュラーモデルであるRef.16519に酷似していたことが影響したのではないでしょうか。

幻のロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.16516のラピスラズリ文字盤が2,537万香港ドル(約3億5,000万円)で落札
左:2018年に出品されたREF 16516

ある程度の明るさを確保した環境下で慣れた人が見れば、同業他社と違ってロジウムプレートなどを施す習慣の無いロレックスのホワイトゴールドケースと、より白く光るプラチナケースとの識別は比較的簡単といえますが、それでもネット上やオークションハウスのカタログ上の画像においては、手巻き世代のモデル程には高騰していない、一般的な自動巻きのデイトナと区別がつきにくかったものと思われます。

今回は昨今の完全に過熱した落札相場を考えても、充分に理にかなった「過激な」落札額を記録しましたが、その記録は
1、ポール・ニューマン氏自身が愛用したRef.6239 約20億2600万円
2、ホワイトゴールド製Ref.6265 ユニコーン 約6億4700万円
3、最後の皇帝、バオ・ダイ氏が愛用したRef.6062 約5億7000万円
4、「ザ・レジェンド」イエローゴールド製 レモンイエローエキゾチックダイヤルのRef.6263 約4億1000万円
以上に続く、ロレックスの時計として歴代5位、そしていわゆるモダン・デイトナのカテゴリでは最高額となったのです。

幻のロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.16516のラピスラズリ文字盤が2,537万香港ドル(約3億5,000万円)で落札

レギュラーモデルであるRef.16519においても、比較的流通量のあったブラックのマザーオブパール文字盤に対して、ラピスラズリ文字盤は希少性が高いものではありますが、それ以上に世界的に未曾有の影響をもたらしているコロナ禍においても揺らぐことの無い、国際的なオークション市場の活況と、ほんの一握り程の超富裕層の優位を象徴しているかのように思えてなりません。

コスモグラフデイトナ16516ラピスラズリ文字盤

落札価格:25,375,000HKD(約3億5,000万円)
落札日:2020年7月11日
オークション:サザビーズ Important Watches
ケース:プラチナ
ムーブメント:cal.4030

情報元:sothebys.com

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加藤

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