ポール・ニューマン

2020年12月12日午前10時(日本時間で13日午前0時)、フィリップスによる “RACING PULSE” (レーシングパルス)と題するオークションが遂に開催されました。

レーシングパルス オーレル・バックス氏
画像:atimelyperspective.com

「ニューヨークにて開催」としながら、今回もオンライン開催を前提としており、オークショニアのオーレル・バックス氏、リビア・ルッソ氏もロンドンからオンラインでの参加となりました。

リシャールミルRM25-01CA
画像:phillips.com オンラインオークション

出品された全137ロットにはいつも通り、弩級のコレクターピースがぎっしりと詰め込まれていましたが、今回はこれに加えてハリウッドの大スター、ポール・ニューマン氏、スティーブ・マックイーン氏、そしてシルベスター・スタローン氏にまつわる時計が加えられたことで、2020年の最後を彩るには過剰と思われる程の盛り上がりを見せました。

それでは注目の3本の結果をお伝えしましょう。

ポール・ニューマン氏が愛用したロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.6263

デイトナ、ポールニューマン
画像:phillips.com

ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.6263

落札価格:$5,475,000
落札日:2020年12月12日
初期のオーナー:ポールニューマン
製造時期:1980年頃~

言わずと知れたアメリカの大俳優、ポール・ニューマン氏は、ウォッチコレクター垂涎の手巻き時代のエキゾチックダイヤルを持つデイトナの代名詞でもあります。

そんな彼が1983年に愛妻からプレゼントされ、2008年に娘のクレアさんに託すまでの約25年間に渡って最も愛用したといわれるRef.6263は、エキゾチックダイヤルではなく、Ref.6263の中期にあたるビッグレッドのデイトナ表記を持つブラックダイヤルを持つものでした。

今回ロットNo.38として登場したこの時計が記録した落札額は5,475,000ドル(約5億7千万円)、これは最後の皇帝と呼ばれるバオ・ダイ氏が愛用したといわれるロレックスのトリプルカレンダームーンフェイズ Ref.6062の5,060,427ドルを上回り、ロレックスの時計の落札金額の歴代第2位のホワイトゴールド製のRef6265、通称「ユニコーン」に次ぐ第3位の落札金額となりました。

スティーブ・マックイーン氏が「栄光のル・マン」で着用したホイヤーモナコ、Ref.1133B

映画「栄光のル・マン」
画像:phillips.com

ホイヤーモナコ Ref.1133B

落札価格:$2,208,000
落札日:2020年12月12日
初期のオーナー:スティーブマックイーン
製造時期:1969年~

“King of Cool” の異名を持つ伝説の大俳優、スティーブ・マックイーン氏が、親友のスイス人F1ドライバー、ジョー・シフェール氏に勧められて映画「栄光のル・マン」にて着用したといわれるホイヤーモナコもまた、時計史を彩る歴史的タイムピースと呼ぶに相応しい存在といえるでしょう。

ロットNo.20として登場したこのモナコは、今回2,208,000ドル(約2億3千万円)で落札され、ホイヤーの時計として歴代最高落札額を記録しました。

前回の説明通り、映画で使用されたモナコは全部で6本有り、今回出品された時計は撮影終了後、マックイーン氏が公私を共にしたメカニックのハイグ・アルトゥーニアン氏に贈ったものといわれていますが、もしマックイーン氏自身がそのまま所有したといわれる個体が国際舞台に上る事があれば、これ以上の価格を記録することになるのではないでしょうか。

シルベスター・スタローン氏が「デイライト」で着用したパネライウォッチ

シルベスター・スタローン、パネライ ルミノール
画像:phillips.com

パネライ ルミノールRef. 5218-201/A(プレヴァンドーム)

落札価格:$214,200
落札日:2020年12月12日
初期のオーナー:シルベスター・スタローン
製造時期:1993年頃~

ウォッチコレクターとしても名を馳せるハリウッドスター、シルベスター・スタローン氏。

1996年に公開された映画、「デイライト」の主演、キット・ラトゥーラの役作りにあたり、「誰も見た事が無い時計を着用したかった」と語ったスタローン氏。

そんなスタローン氏の希望を叶えたのが、その当時まだ無名の存在であったこのパネライウォッチでした。

その後、パネリスティと呼ばれるパネライの熱狂的なファンを世界中に爆発的に増産し、パネライの運命を決定付けたといえるこの一本は、今回ロットNo.47として登場し、214,200ドル(約2,200万円)の価格を付けました。

これまでにオークションに登場したロレックス製のムーブメントを搭載するヴィンテージピースの落札価格等を思えば、今回の落札価格はこれでも十分に値ごろ感の有るものと思えますが、パネライの国際的な名声が続く限り、今回出品されたルミノールウォッチが持つ唯一無二の存在意義はどこまでも大きくなっていくはずであり、時を経て国際舞台にこの時計が再度登場する事があれば、その時は今回の価格を大きく上回ってくる可能性が高いといえるでしょう。

活況が続くオークション市場

今回取り上げた3本中2本を含む合計で4本が1億円以上の価格を付けた今回の “RACING PULSE”。

その他にもパテックRef.1518のイエローゴールド製が504,000ドル、ロレックスのイエローゴールド製のエキゾチックダイヤル、Ref.6239が529,200ドルなど、近年の国際的なオークションにおいて、どちらかといえば中堅どころとなるようなモデルにおいても中だるみすることなく、出品されたすべての時計にしっかりと価格が付いています。

パテックフィリップのRef.1518、ロレックスのエキゾチックダイヤルRef.6239
画像:phillips.com

これは今回のオークションへ寄せられていた投資家やコレクター達の関心が決して低くなかったことを示しており、オーレル・バックス氏率いるフィリップスのウォッチディビジョンの強大な影響力に改めて驚かされると共に、コロナ禍による極めて深刻な経済危機に見舞われる中、国際的な二極化が加速している事を感じざるを得ません。

情報元:phillips.com

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加藤

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