世界屈指のジュエラーが紡ぐ物語
エドワード7世に「王の宝石商、宝石商の王」と呼ばれたカルティエは、世界中のセレブに愛用され、数え切れないほどのストーリーに彩られてきましたが、2017年6月21日にニューヨークで開催されたクリスティーズのオークションにおいて生まれたストーリーもまた、非常に印象深いエピソードといえるでしょう。
そのストーリーの中心はロットNo.250として出品された1962年製、18Kイエローゴールドのレディース・タンクウォッチ。
画像:christies.com
1961年から2年10ヶ月の間アメリカのファーストレディを務め、その生涯を通じて世界中の人々に多くの影響を与えた、ジャクリーン・ケネディ・オナシスさんが愛用した時計でした。
このタンクウォッチにまつわる言い伝え
この時計はジャクリーンさんの妹、リー・ブヴィエさんの夫であったスタニスワフ・スタス・ラジウィル王子から1963年、ケネディ大統領によるフィットネスキャンペーンの一環として行われたパームビーチでの50マイル・ハイクのスタス王子の歩破を記念してジャクリーンさんにプレゼントされたもので、裏蓋に”Stas to Jackie 23 Feb. 63 2:05 AM to 9:35 PM.”とその記録が刻まれています。
画像:christies.com
カルティエの重要なアイコンであるタンクの100周年にあたる2017年に、20世紀に最も輝いた女性が愛用したタンクが紹介されたことは、大いに意味の有ることではないでしょうか。
初めて公開されたジャクリーンさんによる絵画を添えて
更にこの出品にはスタス王子と、その友人であるチャック・スパルディング氏の二人が50マイル・ハイクにおいて奮闘する様を描いたジャクリーンさん直筆の絵画が添えられています。
この絵画はこれまでその存在が知られていなかったものであり、ジャクリーンさんがスタス王子に50マイル・ハイクでの健闘を讃えて送ったものといわれています。
画像:christies.com
当然のこととして達成された、大いなる高額落札記録
この出品につけられたエスティメートは60,000ドル~120,000ドル(約680万円~1,360万円)であったのに対し、379,500USドル(約4,300万円)という驚愕の落札額を記録、ジャクリーンさんという存在の大きさを改めて知らしめる結果となりました。
この出品はラジウィル家の厚意によって実現し、その収益は芸術的な卓越性を示すプロジェクトに支援と資金を提供する米国政府の独立機関である国立芸術基金へ寄付されたといいます。
輝く女性にこそふさわしいアイコン、タンクウォッチ
当然のことながら通常はオークションの落札者についての情報が公表されることはありませんが、このオークションについては、エンターテイメントやセレブリティに関する情報を発信するアメリカのメディアTMZによる、オークションから2日後のスクープによって、アメリカにおいてモデルや女優として非常に高い人気を誇るキム・カーダシアンさんであった事が明らかにされ、大いに話題を呼びました。
画像:christies.com
カルティエが生んだ傑作、タンクタンクウォッチは時代を越えて、輝く女性にこそふさわしいアイコンなのです。
ジャクリーン・ケネディ・オナシスのカルティエ タンク
ケース: 18kゴールドの正方形
刻印:STAS TO JACKIE
付属品:ジャクリーン・ケネディ・オナシスによるオリジナルの絵
出所:Radziwillファミリーの財産
落札価格:USD 379,500
情報元:christies.com
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