今回は、2020年に落札された注目すべきオークションを一つご紹介させていただきます。
それは11月8日のこと。フィリップスが主催したオークション「レトロスペクティブ 2000‐2020」にて、ゼニス クロノマスター リバイバル ルパン三世 ref.03.L384-0.400/20.M384が、CHF 189’000(日本円にしておよそ2,000万円)で落札されました。
クロノマスター リバイバル ルパン三世 ref.03.L384-0.400/20.M384
1971年10月、日本で放送されたTVアニメ「ルパン三世 第1シリーズ」。作中で登場する次元大介は、1969年に発表された“ゼニス エルプリメロ A384”を模したと思われる腕時計を着用していました。それは第一話と最終話において。
(C)モンキー・パンチ/TMS・NTV
2019年 ゼニスは、第1話で登場した腕時計に着想を得た50本の日本限定モデルを作成し完売となりました。次ぐ2020年には、最終話で登場した腕時計に着想を得たモデルを世界に向けて発売しました。
今回オークションに出品されたゼニス クロノマスターは、第一話で登場した次元大介の腕時計をより忠実に再現したものです。
(C)モンキー・パンチ/TMS・NTV
次元大介の腕時計
次元大介の腕時計が、オリジナルのゼニス エルプリメロ A384と異なる要素は以下のような点があげられます。
モノトーンの文字盤に非常に小さなインデックス、ゴールドのクロノ針。そして12時位置にあるはずのZENITHロゴは、“Z・H”を暗くして名前を隠した“ENIT”に。“AUTOMATIC”は“AUTOMNTIC”と表記されています。権利侵害を意識した対応でしょうか。一方であえてゼニスの腕時計とわかるようにしている点はオマージュともとれます。
(C)モンキー・パンチ/TMS・NTV
この架空のタイムピースを実現化した腕時計が世界に“1本だけ”のref.03.L384-0.400/20.M384なのです。しかも、欠けた(ように見える)ブランドロゴに、レタリングが誤表記された時計を、ゼニスが手掛けた事も驚くべき点です。
今回の高額な落札結果は、メーカーによるユニークで稀な取り組みと、アニメとゼニスファンの心をつかんだ事に要因があるのではないでしょうか。現在のオーナーが後にオークションに再出品する可能性もあり、そうなれば更なる入札価格がつくかもしれません。
なお、ref.03.L384-0.400/20.M384には、現代の自動巻ムーブメント エルプリメロ 400を搭載。またリバースエンジニアリングによって、最初期のエルプリメロ搭載機に近い造形を持っています。
落札による収益は、スイスの認定非営利団体ZOE4LIFEに寄付され、小児がん研究の支援、困窮している影響を受けた家族への経済的支援などにあてられます。
ゼニス クロノマスター リバイバル ルパン三世“The One-Off”ref.03.L384-0.400/20.M384
落札日:2020年11月8日
製造時期:2020年
情報元:phillips.com , zenith-watches.com
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