フィリップスとバックス&ルッソによる伝説の始まり
オークションハウス、クリスティーズにおいて時計部門の責任者を務め、目覚ましい活躍を見せた世界最高の時計オークショニア、オーレル・バックス氏が率いるバックス&ルッソSAがフィリップスと独占的なパートナーシップを締結、世界中の関係者や時計コレクターに大きな衝撃を与えたのは2014年11月のことでした。
そしてそのパートナーシップの初舞台となった2015年5月9日と10日のジュネーブ・オークションにおいて、ロレックス コスモグラフ デイトナ Ref.6263、通称「ザ・オイスター・アルビノ」が1,325,000スイスフランにて落札され、いきなりロレックスの歴代最高記録を塗り替えて見せたのです。
画像:phillips.com
THE OYSTER ALBINO
その「ザ・オイスター・アルビノ」は、2つのクロノグラフのプッシュボタンにねじ込み式のロックが追加され、オイスターを名乗るようになったコスモグラフ・デイトナ、Ref.6263登場後間もない時期に製作されたとみられる個体であり、インダイヤルを含めて全てがシルバーで統一された文字盤と、アウターベゼルに備えるブラックのタキメータースケールとの明瞭なコントラストが強烈な印象を与えるもの。
この何かの間違いとしか思えない程の珍しさは世界中のコレクターを惹きつけて止みませんが、現在存在が確認されている個体は世界中で僅か4本のみであり、今回オーレル氏のマジックによって最高落札額を叩きだした個体は、まさにその中の1本でした。
また今回の個体はベゼルやプッシュボタン、ムーブメント、そしてもちろんダイヤルのディテールに至るまで完璧に1970年代初頭のデイトナの特徴を兼ね備えていることはここに繰り返すまでも無いでしょう。
画像:phillips.com
偉大なるギタリストが愛用したデイトナ
この個体は2874334というシリアル番号を持っており、1990年代の後半に余りにも有名なギタリスト、エリック・クラプトンによって購入され、2003年6月にニューヨークで開催されたサザビーズによる「エリック・クラプトンの財産」と題されたオークションにて505,000USドルで落札されて当時のデイトナの歴代最高落札額を記録したものであり、今回で2度目の最高落札額の更新となったもの。
ギターから発せられる高速のパッセージに対して、指がゆったりと指板の上を流れているように見える彼のプレイスタイルから「スローハンド」の異名を持つエリック・クラプトンは、星の数程溢れるロックギタリストの中でも常に最高の評価を集め続け、数多くの名曲と共に不滅の地位を確立したスーパースターであり、2004年の大英帝国勲章 C BEの授与をはじめ、3度に渡るロックの殿堂入り、2015年のブルースの殿堂入り、1989年、1996年のグラミー賞受賞など数多くの栄誉に輝いています。
ちなみに彼が長年に渡って愛用した1956年製のブラックボディのフェンダー ストラトキャスター「ブラッキー」は、2004年6月にニューヨークで開催されたクリスティーズのオークションに出品され、1億円以上もの値を付け、世界一高価なギターとなっています。
この特別なRef.6263は、彼のファンにとっても大変な付加価値を持つものといえるでしょう。
ロレックス オイスターコスモグラフ Ref.6263 “THE OYSTER ALBINO”
製造年:1971年頃
型番:ref.6263
ムーブメント:cal.727
情報元:phillips.comほか
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