ロレックス ディープシー・スペシャルNO.35 フィリップス

11月5日と7日 ジュネーブのホテルlaRéserveにて、フィリップスによるオークション“The Geneva Watch Auction: XIV”が開催されます。
このオークション最大の目玉となる時計が“ロレックス ディープシースペシャル”です。

ステンレススチールとゴールドコンビの「ディープシー・スペシャル」は、1965年に製造された超深海潜水腕時計。これまで一般に販売されたことの無い1本であり、ロレックスの歴史においても非常に重要なアイテムの一つとなっています。

ディープシー・スペシャル
参考:写真はThe Geneva Watch Auction: XIVで出品されるモデル

ロレックス 1950年代

1940年代にデイトジャストで成功をおさめたロレックスは、1950年代に入り(エベレスト登頂を記念し誕生したエクスプローラーに始まる)様々な分野に適応したツールウォッチを生み出していきます。その中の一つの取り組みが防水性・深海の高い水圧にも耐えうる腕時計の探究でした。

1950年代に登場したエクスプローラーとサブマリーナ
画像:www.rolex.com

1953年、ロレックスのダイバーズとして初めてサブマリーナが誕生します。フィフティファゾムスと並び、後のダイバーズ時計の規範として現代まで多くの腕時計に影響を与える事となります。

そしてこの年、ロレックスにとってもう一つの大きな出来事がありました。それは、スイス人海洋学者オーギュスト・ピカールによって設計された深海潜水艇トリエステ号に、一つの“ロレックスの試作腕時計”が取り付けられて行われた、海底1,080mまでの潜水実験でした。 この際に開発された試作時計が“ディープシー・スペシャル”でした。

高い水圧に対応したケースと風防
参考:写真はThe Geneva Watch Auction: XIVで出品されるモデル

屈強なケースと極厚ドーム型風防を備え、深海の高い水圧に耐えられるよう開発されました。 同じ年、海底3,150mに及ぶ2度目の実験が新たなディープシー・スペシャルで行われました。

深海への探求

これら2回のテストを終え、1960年には3作目となるディープシー・スペシャルが誕生。 過去の実験データを基に海面下10,000メートル以上までの潜水に耐えられるよう設計されました。

トリエステ号
画像:www.rolex.com

この実験では、深海潜水艇トリエステ号にジャック・ピカールとアメリカ海軍ドン・ウォルシュ大尉が乗り込み、海洋最深地点とされるマリアナ海溝の水深 10,916mまで潜航が行われました。ディープシー・スペシャルは再浮上した時、正確な時間を刻んでおり、過酷な実験は成功を収めました。
加えて、このトリエステ号の潜行記録は当時の世界記録であり、2012年まで更新される事はありませんでした。

フィリップスによると、最初に製造されたディープシー・スペシャルは他の実験に使用され、一部はピカール教授に託されたとされています。

プロモーション用に製造されたディープシー・スペシャル

ディープシー・スペシャルNO.35 文字盤
参考:写真はThe Geneva Watch Auction: XIVで出品されるモデル

1960年のトリエステ号の海上探査の後、ロレックスはこの偉業を記念し複数のディープシー・スペシャルを製作。これらは、ディープシー・スペシャルの開発に貢献した科学技術博物館、時計博物館、ロレックスと関係の深い販売店、著名なパートナーや経営者のみに提供されました。
トリエステ号に取り付けられたディープシー・スペシャルは、現在ワシントンD.C.のスミソニアン博物館に展示。他にも、バイエル博物館、ロンドン科学博物館、ニヨンピカール博物館(スイス)にもシリーズの一つが保管されています。

フィリップスに出品されるディープシー・スペシャル

フィリップスに出品されるディープシー・スペシャルは、プロモーション用に製造されたモデルの1本であり、裏蓋から35番目のモデルであることがわかります。

ディープシー・スペシャルNO.35
画像:35番目ディープシー・スペシャル

これまで、ディープシー・スペシャルが一般に販売されたのは他のモデル5本のみ。最後の1本が市場に出てから12年が経過しており、今回の出品は非常に希少な機会となっています。 どれほどの落札価格がつくのか注目をしたいと思います。

ディープシー・スペシャルNO.35 正面

ロレックス ディープシー・スペシャル

ケース番号:35
ムーブメント:Cal.1570
製造時期:1966年
ブレスレット/ストラップ: 18Kイエローゴールド・ステンレススチール
エスティメイト: CHF1,200,000 – 2,400,000

情報元:www.phillips.com

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加藤

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